PCI施行患者におけるDAPT期間別の心血管・出血イベント比較



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31237644/ 

タイトル:Effect of 1-Month Dual Antiplatelet Therapy Followed by Clopidogrel vs 12-Month Dual Antiplatelet Therapy on Cardiovascular and Bleeding Events in Patients Receiving PCI: The STOPDAPT-2 Randomized Clinical Trial

<概要(意訳)>

背景:

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)で薬物溶出性ステントを留置した後の超短期間の二重抗血小板療法(DAPT)は、出血イベントと心血管イベントの観点から魅力的な選択肢である可能性がある。

本研究では、「標準的な12ヶ月のDAPT期間」と「超短期の1ヶ月のDAPT期間」における「心血管・出血イベントの複合エンドポイント」の非劣性試験を実施した。

方法:

2015年12月~2017年12月の間に、90施設の病院でPCI施行された3,045人の日本人患者を登録した多施設無作為化オープンラベル試験である。 2019年1月に、最後の1年のフォローアップ期間が完了した。

患者は、1ヶ月のDAPT期間後にクロピドグレル単剤療法群(n=1,523)、または12ヶ月のアスピリンとクロピドグレルを併用したDAPT群(n=1,522)のいずれかに無作為に割り付けた。

主要評価項目は、12ヶ月間の「心血管死、心筋梗塞(MI)、虚血性/出血性脳卒中、ステント血栓症、またはTIMI出血基準の大出血/小出血」の複合である。

副次的な心血管イベント評価項目は、「心血管死、心筋梗塞(MI)、虚血性/出血性脳卒中、ステント血栓症」で、副次的な出血イベント評価項目は、「TIMI出血基準の大出血/小出血」である。

結果:

無作為化された3,045人の内、36人が同意撤回した。残りの3,009人の内、2,974人(99%)が1年間の追跡調査を完了した。

主要評価項目(心血管死、MI、虚血性/出血性脳卒中、ステント血栓症、または大出血/小出血の複合)の結果は、1ヶ月DAPT群2.36%(35例)vs 12ヶ月DAPT群3.70%(55例)となり、[絶対差-1.34%(95%CI:-2.57%~-0.11%)、HR 0.64(95%CI:0.42~0.98)、非劣性p<0.001、優越性p=0.04]で、両方の基準を満たしたことから1ヶ月DAPT群の 12ヶ月DAPT群に対する非劣性と優越性が認められた。

JAMA.2019 Jun 25;321(24):2414-2427.

副次的な心血管イベント評価項目(心血管死、MI、虚血性/出血性脳卒中、ステント血栓症)の結果は、1ヶ月DAPT群 1.96% vs. 12ヵ月DAPT群2.51%となり、[絶対差-0.55%(95%CI:-1.62%~-0.52%)、HR 0.79(95%CI:0.49~1.29)、非劣性p=0.005、優越性p=0.34]で、非劣性は示されたが,優越性は認められなかった。

JAMA.2019 Jun 25;321(24):2414-2427.

副次的な出血イベント評価項目(大出血/小出血)の結果は、1ヶ月DAPT群 0.41% vs. 12ヵ月DAPT群1.54%となり、[絶対差-1.13%(95%CI:-1.84%~-0.42%)、HR 0.26(95%CI:0.11~0.64)、優越性p=0.004]で、1ヶ月DAPT群の 12ヶ月DAPT群に対する優越性が認められた。

JAMA.2019 Jun 25;321(24):2414-2427.

結論:

エベロリムス溶出性ステント(EES;Xience)を留置した患者に、アスピリンとクロピドグレルを12ヶ月併用したDAPTと比較して、1ヶ月DAPT後のクロピドグレル単剤治療は、1年後の心血管および出血イベントを有意に抑制した。

この結果は、DAPT期間を短くすることのベネフィットを示唆しているが、本研究の限界を考慮すると、他の集団での追加研究が必要であろう。

【参考情報】STOPDAPT-2試験

https://www.ebm-library.jp/circ/trial/doc/c2018032.html

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