心血管代謝リスク因子を持つCOVID-19入院患者におけるSGLT2阻害薬の影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34302745/ 

タイトル:Dapagliflozin in patients with cardiometabolic risk factors hospitalised with COVID-19 (DARE-19): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial

<概要(意訳)>

背景:

COVID-19は、多臓器不全を引き起こす可能性がある。

本研究では、心臓と腎臓の保護効果を有するSGLT2阻害薬がCOVID-19入院患者に対して臓器保護効果をもたらすかどうかを評価した。

方法:

DARE-19試験は、少なくとも1つの心血管代謝リスク因子(高血圧、2型糖尿病、アテローム動脈硬化性心血管疾患、心不全、慢性腎臓病)を有するCOVID-19入院患者を対象としたプラセボ対照ランダム化二重盲検試験である。

ただし、スクリーニング時で重症の患者は除外された。

被験者は、SGLT2阻害薬(ダパグリフロジン10㎎/日)とプラセボに1:1でランダムに30日間割り付けられた。

主要評価項目は、ITT集団における「予防複合アウトカム(臓器機能障害の発症または悪化、全死亡)と回復複合アウトカム(30日間における臨床状態の変化)」が評価された。

少なくとも1回の治験薬を投与された患者の安全性には、「重篤な有害事象、試験中止につながる有害事象、関心のある有害事象(急性腎障害、糖尿病性ケトアシドーシス)」が含まれた。

本研究は、ClinicalTrials.govのNCT04350593に登録されている。

結果:

予防複合アウトカム[臓器機能障害(呼吸不全/心血管不全/腎不全)の発症または悪化、全死亡]は、SGLT2阻害薬群で70例(11.2%)、プラセボ群で86例(13.8%)発生し、ハザード比は[HR 0.80(95%CI 0.58-1.10); p=0.17]となった。

 

また、予防複合アウトカムの内訳におけるハザード比は、それぞれ、

臓器機能障害の発症または悪化:[HR 0.80(95%CI 0.57-1.11); NA]

呼吸不全:[HR 0.85(95%CI 0.60-1.20); NA]

心血管不全:[HR 0.81(95%CI 0.55-1.19); NA]

腎不全:[HR 0.65(95%CI 0.38-1.10); NA]

全死亡:[HR 0.77(95%CI 0.52-1.16); NA]

となった。

 

回復複合アウトカムでは、SGLT2阻害薬群で547例(87.5%)、プラセボ群で532例(85.1%)が30日間で臨床状態の改善を示したが、統計学的に有意な差は示さなかった[WR 0.77(95%CI 0.97-1.22); p=0.14]。

Lancet Diabetes Endocrinol. 2021 Jul 21;S2213-8587(21)00180-7.

安全性の内訳は、SGLT2阻害薬群とプラセボ群で、それぞれ、「(死亡を含めた)重篤な有害事象(10.6% vs 13.3%)、試験中止につながる有害事象(7.2% vs 8.9%)、関心のある有害事象[急性腎障害(3.4% vs 5.5%)、糖尿病性ケトアシドーシス(0.3% vs 0%)]」となった。

Lancet Diabetes Endocrinol. 2021 Jul 21;S2213-8587(21)00180-7.

結論:

心血管代謝リスク因子を持つCOVID-19入院患者において、SGLT2阻害薬(ダパグリフロジン10㎎/日)による治療は、「臓器機能障害または死亡」と「臨床的な回復」のアウトカムに統計的に有意なリスク低下を示さなかったが、忍容性は良好であった。

 

【参考情報】

The win ratio: a new approach to the analysis of composite endpoints in clinical trials based on clinical priorities

https://academic.oup.com/eurheartj/article/33/2/176/439013 

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