PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32306492/
タイトル:D-dimer Levels on Admission to Predict In-Hospital Mortality in Patients With
<概要(意訳)>
背景:
COVID-19患者は、世界的に増加しており、臨床転帰を改善する為の効果的な予測因子の調査が緊急に必要である。
本研究では、COVID-19患者の院内死亡率をDダイマー値で予測可能かどうかを評価した。
方法:
2020年1月12日から3月15日まで、武漢アジア総合病院に入院したCOVID-19患者を後ろ向きに登録した。
ROC(受信者動作特性)曲線により、入院と死亡時のDダイマー値から最適なカットオフ値を計算した。
カットオフ値により、被験者を2群に分け、院内死亡率を比較してDダイマー値の予測値を評価した。
結果:
評価対象となった343例の年齢は、18歳から92歳で中央値は62歳(四分位範囲:48〜69歳)であった。
全体の37.6%(129/343)は65歳以上の高齢者で、50.3%(174/343)は女性であった。
入院中における全ての原因による死亡は、13例であった。
ROC曲線により、全ての原因による死亡を予測するDダイマーの最適なカットオフ値は、2.0 µg/mLで、感度は92.3%、特異度は83.3%、ROC曲線下面積は0.89であった。
種々の検査の中で、DダイマーはCOVID-19患者の院内死亡率を予測する最高のC index(C統計量:予後予測の精度を表す指標)値、0.883を示した。
Dダイマーのカットオフ値により、2.0μg/mL未満(276人)と2.0μg/mL以上(67人)の2群に分けた。
Dダイマー2.0μg/mL未満と比較して、2.0μg/ mL以上の被験者は、糖尿病(p=.007)、高血圧(p <.001 )、冠動脈疾患(p=.02)、脳卒中の既往(p <.001)などの基礎疾患の合併率が高かった。
入院中に死亡した13例の内訳は、2.0μg/mL未満では1例/276例、2.0μg/mL以上では、12例/67例であった。
カプランマイヤー生存曲線により、2.0μg/mL未満と比較して2.0µg/mL以上のDダイマー値は、院内死亡率の有意な予測因子(p<.001、HR:51.5)となり、2群間の有意性は7日で達成された。
また、Cox比例ハザード分析(性別、年齢で調整)によっても、基礎疾患の有無に関わらず、2.0µg/mL以上のDダイマー値は有意な予測因子となった(p=.003、HR:22.4)。
結論:
入院時に2.0µg/mL以上のDダイマー値は、COVID-19患者の院内死亡率を効果的に予測できる有用なマーカーであり、早期介入により臨床転帰を改善する可能性が示唆される。
【参考情報】Dダイマー検査