心血管リスクとHbA1c値が異なる2型糖尿病患者の臨床転帰に対する厳格血糖コントロールの影響



PubMed URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32193249 

タイトル:The Effects of Intensive Glycemic Control on Clinical Outcomes Among Patients With Type 2 Diabetes With Different Levels of Cardiovascular Risk and Hemoglobin A1c in the ADVANCE Trial.

<概要(意訳)>

目的:

ベースラインで異なるアテローム性動脈硬化症(ASCVD)リスクとHbA1c値の2型糖尿病患者に対する厳格な血糖コントロール(目標HbA1c値≦6.5%)は、主要な血管転帰(大血管および細小血管イベントの複合)、全ての原因による死亡、重度の低血糖に差異があるかを検討する。

対象と方法:

(N Engl J Med 2008; 358: 2560-2572. ADVANCE試験データより参照)診断時30歳以上、試験登録時55歳以上の平均HbA1c値7.5%の2型糖尿病患者11,140例。

登録基準は、大血管または細小血管疾患の既往、または血管疾患のリスク因子を1つ以上有する患者。5年後の平均HbA1c値は,強化療法群6.5%,標準療法群7.3%であった。

ADVANCE研究に登録された11,071例をCox modelsで解析。

10年間のアテローム性動脈硬化症リスクは「≦20%、20%<ASCVD risk≦40%、40%<」、血糖値は「<6.5%、6.5%≦HbA1c≦7%、7%<HbA1c≦8%、8%<」に分類した。

結果:

5年のフォローアップ期間の厳格な血糖コントロールによる大血管と細小血管の複合イベントは有意に減少([HR] 0.90 [95%CI 0.83–0.98])し、その主要因はマクロアルブミン尿の減少であった。その結果は、ベースラインの異なるASCVDリスクまたはHbA1c値(交互P値 =0.29、0.94)の各間で差異はなかった。

また、細小血管イベントも有意に減少([HR]0.87[95%CI 0.77-0.98])し、ベースラインの異なるASCVDリスクまたはHbA1c値(交互作用P値 =0.66、0.98)の各間で差異はなかった。

全ての原因による死亡では、有意な減少は認められず([HR]0.93[95%CI 0.82-1.05])、ベースラインの異なるASCVDリスクまたはHbA1c値(交互作用P値 =0.15、0.87)の各間で差異はなかった。

重度の低血糖リスクは、標準的な血糖コントロール群(HR 1.85 [95%CI 1.41–2.42])と比較して厳格な血糖コントロール群で高かったが、ベースラインの異なるASCVDリスクまたはHbA1c値(交互P値 = 0.09、0.18)の各間で差異はなかった。

結論:

ADVANCE研究において、厳格血糖コントロール群の臨床転帰はベースラインの異なるASCVDリスクとHbA1c値の各間で差異がなかったことは2型糖尿病患者の大きなベネフィットだろう。

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