PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35984439/
タイトル:Range of Risk Factor Levels, Risk Control, and Temporal Trends for Nephropathy and End-stage Kidney Disease in Patients With Type 1 and Type 2 Diabetes
<概要(意訳)>
目的:
糖尿病患者および対応する対照被験者における糖尿病性腎症および末期腎不全 (ESRD) の傾向、心血管代謝リスク因子の最適レベル、および多因子リスク管理を調査すること。
方法:
本研究には、スウェーデン国立糖尿病登録簿の701,622例の糖尿病患者と2,738,137例の被験者が含まれていた。
傾向は、標準化された発生率で分析した。
糖尿病における過剰リスク、最適な危険因子レベル、危険因子の数に応じたリスクは、Cox回帰を使用して評価した。
結果:
ベースラインで心血管疾患の有無に関わらず、(2型)糖尿病患者と対照被験者における末期腎不全(ESRD)の発生率は、2007年まで減少したが、その後、2019年にかけて増加した。
一方で、糖尿病性腎症の発生率は、追跡期間を通じて減少し続けた。
2型糖尿病患者の末期腎不全と心血管代謝リスクの相関において、「HbA1cとSBPの上昇、BMIの上昇、高齢、および HDL-CとLDL-Cの低値」は、末期腎不全のリスクが高いことと関連していた。
糖尿病性腎症についても、同様のパターンが観察された。
Diabetes Care. 2022 Oct 1;45(10):2326-2335.
対照被験者と比較して、心血管代謝リスク因子(HbA1c、収縮期血圧、BMI、LDL-C、HDL-C、トリグリセリド、糖尿病の罹病期間、ベースラインの年齢)の目標達成(No risk factors)、目標未達数(1RF~5RF)の「2型糖尿病患者における末期腎不全のハザード比」は、それぞれ、
目標達成(No risk factors):1.60 (1.49 to 1.71)
目標未達数(1RF):1.63 (1.59 to 1.68)
目標未達数(2RF):1.93 (1.90 to 1.97)
目標未達数(3RF):2.30 (2.26 to 2.34)
目標未達数(4RF):2.79 (2.74 to 2.84)
目標未達数(5RF):3.61 (3.44 to 3.79)
となり、心血管代謝リスクの目標未達数に比例して、段階的な増加を示した。
心血管代謝リスク因子の目標達成(No risk factors)と比較して、心血管代謝リスク因子(HbA1c、収縮期血圧、BMI、LDL-C、HDL-C、トリグリセリド、糖尿病の罹病期間、ベースラインの年齢)の目標達成(No risk factors)、目標未達数(1RF~5RF)の「2型糖尿病患者における糖尿病性腎症のハザード比」は、それぞれ、
目標未達数(1RF):1.01 (0.94 to 1.09)
目標未達数(2RF):1.15 (1.07 to 1.23)
目標未達数(3RF):1.30 (1.21 to 1.39
目標未達数(4RF):1.54 (1.44 to 1.66)
目標未達数(5RF):1.68 (1.55 to 1.83
となり、心血管代謝リスクの目標未達数に比例して、段階的な増加を示した。
年齢、性別、社会経済変数を調整した末期腎不全のハザード比は、対照被験者と比較して、2型糖尿病患者で2.32 (95% CI 2.30–2.35) 、1型糖尿病患者で10.92 (95% CI 10.15–11.75) であった。
全てのモデルで、ベースラインでの心血管疾患は(冠動脈疾患、脳卒中、心不全)、特に「心不全」は、腎アウトカム(末期腎不全、糖尿病性腎症)のリスク増加と関連することが示された。
Diabetes Care. 2022 Oct 1;45(10):2326-2335.
結論:
糖尿病性腎症の発生率は大幅に減少したが、末期腎不全の発生率は増加した。
修正可能な心血管代謝リスク因子の目標レベルの達成は、腎アウトカムのリスク低下と関連しており、特に、収縮期血圧とHbA1cの目標レベルの未達は、腎アウトカムのリスク上昇に影響することが示された。