PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36151724/
タイトル:Aetiology of chronic heart failure in patients from a super-aged society: the KUNIUMI registry chronic cohort
<概要(意訳)>
目的:
人口の高齢化が急速に進む中、特に先進国では心不全が喫緊の課題となっている。
本研究では、超高齢社会における慢性心不全の主な病因を調査することを目的とした。
方法:
KNIUMIレジストリの慢性コホートは、日本の淡路島における慢性心不全の地域ベースの前向き観察研究である。
この島民の人口は、65 歳以上が36.3%を占めています。
本研究では、症候性心不全患者のデータをレジストリから抽出した。
結果:
2019年3月から2021年3月までに、島民人口の約1.3%を占める合計1,646例の患者が登録された。
症候性心不全患者852例の患者を分析した。
平均年齢は高く(78.7±11.1 歳)、357例(41.9%)は女性であった。
女性の割合は加齢とともに著しく増加し、85歳以上の半数以上を占めていた(p<0.01)。
心房細動の有病率、特に持続性心房細動の有病率は、70歳で増加した(p<0.01)。
HFpEFの割合は、75 歳を超えると60%まで増加した。
慢性心不全の病因の内訳は、心筋症(CM)が15.7%、高血圧性心疾患(HHD)が11.5%、
虚血性心疾患(ICM)が35.0%、心臓弁膜症(VHD)が49.8%、先天性心疾患(CHD)が1.8%となり、心臓弁膜症(VHD)は慢性心不全の最も一般的な原因であった。
ESC Heart Fail. 2022 Sep 23. doi: 10.1002/ehf2.14162.
心臓弁膜症の主な種類の内訳は、大動脈弁狭窄症(Aortic Stenosis ; AS)が12.4%、大動脈弁閉鎖不全症(Aortic Regurgitation ; AR)が9.6%、僧帽弁狭窄症(Mitral Stenosis ; MS)が1.8%、僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Regurgitation ; MR)が27.2%、三尖弁閉鎖不全症(Tricuspid Regurgitation ; TR)が21.7%であった。
僧帽弁閉鎖不全症(MR)と三尖弁閉鎖不全症(TR)は、いずれも年齢とともに有意に増加した (p<0.01)。
大動脈弁狭窄症(AS)は、85 歳以上で著しく増加した(p<0.01)。
ESC Heart Fail. 2022 Sep 23. doi: 10.1002/ehf2.14162.
心房性機能性僧帽弁閉鎖不全症(FMR-a)は、年齢とともに増加し、75 歳以上の僧帽弁逆流の主な原因であった。
心房性機能性僧帽弁閉鎖不全症の患者は、心房細動(特に持続性心房細動)の有病率が高く、他のタイプの僧帽弁閉鎖不全症(MR)の患者よりも、左房容積(LAVI)が大きかった (p<0.001)。
ESC Heart Fail. 2022 Sep 23. doi: 10.1002/ehf2.14162.
結論:
本研究では、超高齢社会の心不全の病因における心臓弁膜症の変化を示した。
超高齢社会における心不全パンデミックに備えるため、効果的かつ包括的な対策が求められる。
【参考情報】
心臓弁膜症サイト
心臓弁膜症とは : 心臓弁膜症と心臓の働き | 心臓弁膜症サイト (benmakusho.jp)
心房性機能性僧帽弁閉鎖不全症について
心房性機能性僧帽弁閉鎖不全症について 【2022年最新版】 | 心臓外科手術情報WEB (shinzougekashujutsu.com)
機能性僧帽弁閉鎖不全症とは
機能性僧帽弁閉鎖不全症とは?――心臓のパワー確保がたいせつ 【2020年最新版】 | 心臓外科手術情報WEB (shinzougekashujutsu.com)
一次性MRと二次性MR、心房機能性MRの違い