PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28386035/
タイトル:Empagliflozin and Cerebrovascular Events in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus at High Cardiovascular Risk
<概要(意訳)>
背景:
EMPA-REG OUTCOME試験では、心血管リスクが高い2型糖尿病患者の標準治療にエンパグリフロジンを追加することで3P-MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合イベント)のリスクが有意に低下した。
エンパグリフロジン群とプラセボ群の間には、心筋梗塞や脳卒中のリスクに有意な差はなく、全死亡率は有意に低下した。
本研究では、脳血管イベントに関するサブ解析を行った。
結果:
intent-to-treat(ITT)解析による、致死的及び非致死的脳卒中のハザード比は[HR 1.18(95%CI 0.89-1.56)、p=0.26]であった。
治験薬の最終投与から90日を超えてからの脳卒中イベントは、エンパグリフロジン群18例、プラセボ群3例であった。
治験薬の最終投与後90日以内のイベントに基づく感度分析による、致死的及び非致死的脳卒中のハザード比は[HR 1.08(95%CI 0.81-1.45)、p=0.60]であった。
Stroke. 2017 May; 48(5): 1218-1225.
intent-to-treat(ITT)解析による、非致死的脳卒中、致死的脳卒中、後遺障害を伴う(disabling)脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)の発症リスクは、エンパグリフロジン群とプラセボ群に差はなかった。
Stroke. 2017 May; 48(5): 1218-1225.
事前に指定したベースライン特性[年齢、性別、人種、地域、HbA1c、体重、eGFR、尿中アルブミン/クレアチニン比、血圧、心血管リスク、脳卒中既往、心房細動、心不全、インスリン、スタチン、ACE阻害薬/ARB、β遮断薬、利尿薬、ループ利尿薬、アセチルサリチル酸(アスピリン)、ビタミンK拮抗薬(ワルファリン)、喫煙状況]による初発の脳卒中リスクの探索的分析では、地域(ヨーロッパ、北アメリカ、ラテンアメリカ、アジア)とHbA1c(<8.5%、≧8.5%)で不均一性(p<0.05)が認められた。
エンパグリフロジン群では、ヘマトクリット値は治験中に増加したが(ベースラインからの平均変化:3.61%[±0.06])、フォローアップ時(治療終了30日後)には、ベースラインの値に近づいていた(ベースラインからの平均変化:1.78%[±0.06])。
ベースラインからヘマトクリット値が変化した90パーセンタイル(percentile)は、ヘマトクリット値9%の増加であった。
この閾値を満たす(≧9%)被験者と満たさない(<9%)被験者おける脳卒中リスクは、エンパグリフロジン群とプラセボ群に差はなかった。
Stroke. 2017 May; 48(5): 1218-1225.
「体液量減少の有無」における脳卒中リスクは、エンパグリフロジン群とプラセボ群に差はなかった。
Stroke. 2017 May; 48(5): 1218-1225.
結論:
心血管リスクの高い2型糖尿病患者における脳血管イベントのリスクは、SGLT2阻害薬とプラセボに有意な差は示されなかった。
【参考情報】
体液量減少