左室収縮末期容積指数はHFpEF患者の予後予測因子にもなる



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32670635/ 

タイトル:Left Ventricular End-Systolic Volume Is a Reliable Predictor of New-Onset Heart Failure with Preserved Left Ventricular Ejection Fraction

<概要(意訳)>

背景:

左室(LV)駆出率(EF)とLV容積は心疾患の予後予測効果があることが報告されている。特に左室収縮末期容積指数(LV ESVI)は最も信頼性の高い予後指標として注目されている。しかし,LVEF≧50%の患者では,その有効性は明らかにされていない。

方法:

心臓カテーテル検査で左室造影とマイクロマノメーターで左室圧を計測し、早期の再灌流療法が必要な重度の冠動脈狭窄患者を除外し、最終的に心不全(HF)既往のないHFpEF患者355例を本研究の評価対象とした。

主要評価項目は、「心血管死、またはHFによる入院」とした。

また、これに対する「左室収縮末期容積指数(LV ESVI)の予後予測値をCox比例ハザードモデルで検討した。

結果:

単変量解析で統計的に有意な値を示した変数をステップワイズ法で多変量解析したところ、

加齢[HR1.071 (95%CI 1.009–1.137)、p=0.024]、BNPレベルの上昇[HR1.533 (95%CI 1.090–2.156)、p=0.014]、LV ESVI(左室収縮末期容積指数)の増加[HR1.051 (95%CI 1.011–1.093)、p=0.013]が予後予測の有意な指標となった。

Cardiol Res Pract. 2020 Jun 29; 2020: 3106012.

ROC(受信者操作特性)分析では、BNP値のカットオフ値は25.3pg/mlとなった(感度: 75.0%、特異度: 68.7%、AUC:0.753)。

BNP値>25.3と≦25.3における、「心血管死、またはHFによる入院の累積発症率」のログランク検定p値は、<0.001となった。

また、LV ESVI(左室収縮末期容積指数)のカットオフ値は24.1 ml/mとなった(感度: 79.2.%、特異度: 62.5%、AUC:0.729)。

LV ESVI(左室収縮末期容積指数)>24.1と≦24.1における、「心血管死、またはHFによる入院の累積発症率」のログランク検定p値は、<0.001となった。

Cardiol Res Pract. 2020 Jun 29; 2020: 3106012.

結論:

HFpEF(LVEF≧50%)患者における左室収縮末期容積指数(LV ESVI)の高値(>24.1 ml/m)は、「心血管死または心不全入院」と関連していることが示された。

左室収縮末期容積指数(LV ESVI)は、HFpEF患者の予後予測の指標としても考慮すべきだろう。

 

【参考情報】

臨床予測モデルにおける変数選択 と判別・較正の⽅法

https://www.ism.ac.jp/~noma/2018-12-07%20JBS%20Seminar%20Kyoto.pdf 

ROC曲線

http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/clinicaljournalclub6.html 

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