PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36251385/
タイトル:Prediabetes Is Associated With Increased Risk of Heart Failure Among Patients With Atrial Fibrillation
<概要(意訳)>
目的:
「前糖尿病と心不全」との関連性、および「血糖状態の変化と心不全の関連性」を評価すること。
方法:
2015 年から2018 年の間に、新規に心房細動 (AF) と診断された患者をベースラインの血糖状態により3 群に(正常血糖、前糖尿病、2型糖尿病) に分類した。
主要評価項目は、心不全の発症とした。
競合するイベントとして死亡を定義し、競合リスクモデルを適用した。
結果:
心房細動患者17,943例 (平均年齢75.5歳、女性47%) の内、ベースラインで3,711例(20.7%)が前糖尿病で、10,127例(56.4%) が糖尿病であった。
4.7年(中央値)の追跡期間で、正常血糖の患者518例(14%)、糖尿病前症の患者646例 (15.7%)、糖尿病の患者1,795例(17.7%)で心不全が発症した。
糖尿病は、正常血糖と比較して、心不全発症リスクの増加と関連していた
[SHR 1.30(95%CI 1.19-1.22), p<0.01]。
前糖尿病も、正常血糖と比較して、心不全発症リスクの増加と関連していた
[SHR 1.12(95%CI 1.03-1.22), p=0.02]。
Diabetes Care. 2022 Oct 17;dc221188. doi: 10.2337/dc22-1188.
2年の間にベースラインで前糖尿病の心房細動患者は、403例(11.1%)は糖尿病に移行し、311例(8.6%)は正常血糖に寛解した。
心房細動患者は、前糖尿病を維持した場合と比較して、糖尿病の移行は心不全発症リスクの増加[SHR 1.50(95% CI 1.13-1.97), p=0.01]と関連し、正常血糖への寛解は心不全発症リスクの減少[SHR0.61(95% CI 0.42-0.94), p=0.02]と関連していた。
Diabetes Care. 2022 Oct 17;dc221188. doi: 10.2337/dc22-1188.
結論:
前糖尿病は、心房細動患者における心不全発症リスクの増加と関連していた。
2年の間に前糖尿病を維持した患者と比較して、糖尿病に移行した患者は心不全発症リスク が増加し、正常血糖に寛解した患者の心不全発症リスクは低下することが示された。
【参考情報】
競合リスクイベント
競合リスクイベント (competing risk event) | Dr.Clover’s Computer Clinic (fcg.world)
競合リスクモデル
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjb/29/2/29_2_141/_pdf
subdistribution hazardとは