慢性心不全患者の再入院抑制する為のガイドライン推奨治療の重要性



PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34568630/ 

タイトル:Importance of Optimized Guideline-Based Therapy for Preventing Rehospitalization of Chronic Heart Failure Patients – From the KUNIUMI Acute Cohort

<概要(意訳)>

背景:

ガイドライン推奨治療 (GBT) を強化することは、慢性心不全患者の心不全再入院を抑制に有効であるかどうかは未だ明らかになっていない。

本研究では、KUNIUMIレジストリの急性コホートにおける心不全患者の特徴を調査した。

方法:

KUNIUMI レジストリから再入院した254例の心不全患者を調査した。

ガイドライン推奨治療 (GBT)は、日本循環器学会のガイドライン(薬物治療・非薬物治療)における推奨クラスⅠまたはⅡaとして定義した。

但し、本研究の患者は、2013年4月から2020年6月の間に登録された為、イバブラジン(2019年11月発売)、サクビトリル・バルサルタン(2020年8月発売)、SGLT2阻害薬などの新しい心臓保護薬は含めることができていない。

主要評価項目は、「全死亡または退院後の初発の心不全再入院」とした。

結果:

被験者の平均年齢は81.2±10歳で、142 例(56%)が女性であった。

心不全の重症度分類では、13例(5%)がNYHAⅡ度、62例(22%)がⅢ度、179例(70%)がⅣ度に分類された。

心不全のサブタイプは、86例(34.1%)がHFrEF、41例(16.3%)がHFmrEF、125例(49.6%)がHFpEFであった。

 

再入院した慢性心不全患者254例の内、193例はGBTで治療されており、残りの61例はそうでなかった。

平均追跡期間400日の間に、主要評価項目(全死亡または退院後の初発の心不全入院)のイベントは、166 例(65.3%) に発生した。

 

ガイドライン推奨治療(GBT)治療を受けた患者は、受けなかった患者よりも転帰が良好な傾向があったが、その差は統計的に有意ではなかった[HR 0.82(95%CI 0.57-1.19); p-0.27]。

 

登録患者の大半(70%)は、NYHA IV度であった為、これらの患者の主要評価項目も個別に調査した。

NYHA Ⅳ度のガイドライン推奨治療(GBT)治療を受けた患者は、受けなかった患者よりも転帰が良好な傾向があったが、その差は統計的に有意ではなかった[HR 0.73(95%CI 0.47-1.12); p=0.15]。

Circ Rep. 2021 Aug 13;3(9):511-519.

79歳未満でNYHA Ⅳ度のガイドライン推奨治療(GBT)治療を受けた患者は、受けなかった患者よりも転帰が有意に良好であった[HR 0.33(95%CI 0.14-0.82); p=0.02]。

 

一方で、80歳以上でNYHA Ⅳ度のガイドライン推奨治療(GBT)治療を受けた患者は、受けなかった患者よりも転帰が良好な傾向があったが、その差は統計的に有意ではなかった[HR 1.01(95%CI 0.62-1.66); p=0.97]。

Circ Rep. 2021 Aug 13;3(9):511-519.

多変量 Cox 回帰分析により、主要評価項目(全死亡または退院後の初発の心不全入院)の独立した要因を調査(年齢、女性、BMI、心房細動、左室駆出率、アルブミン、ガイドライン推奨治療)したところ、ガイドライン推奨治療(GBT)が唯一の要因であることが示された。

Circ Rep. 2021 Aug 13;3(9):511-519.

結論:

ガイドライン推奨治療は、とくに79歳未満のNYHA Ⅳ度の慢性心不全患者の心不全再入院を抑制することが示された。

ガイドライン推奨治療は慢性心不全患者の“次の一手”として重要な役割を果たすことが期待できるだろう。

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