COVID-19における抗凝固療法



PubMed URLhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32352517

タイトル:Anticoagulation in COVID-19.

 COVID-19患者における凝固障害管理のアルゴリズム>※血小板数50,000未満、INR>2の出血リスクが高い症例は除外

 ヘパリンは、COVID-19 Spikeタンパク質(Sタンパク質)への結合や、COVID-19患者で上昇しているインターロイキン-6IL-6)のダウンレギュレーションに関与しているため、未分画ヘパリンまたは低分子ヘパリンは依然として入院患者の最適な抗凝固薬となるだろう。COVID-19患者は、退院後も一定期間、抗凝固療法の継続が必要となる可能性がある。

中国の重症COVID-19患者449例におけるレトロスペクティブ調査等の見解に基づき、下記に抗凝固療法のアルゴリズムを示す。

 [血栓塞栓症低リスク]

D-ダイマー<0.50mcg/mL FEU ⇒ エノキサパリン40mg/

 D-ダイマー0.5-3.0mcg/mL FEU ⇒ エノキサパリン40mg×2/日(腎機能により用量調節)

 D-ダイマー>3 mcg/mL FEU ⇒ エノキサパリン1mg/kg(腎機能により用量調節)

⇒ポイントオブケア超音波検査 →陽性:抗凝固療法の継続 /  →陰性:エノキサパリン40mg×2/日(腎機能により用量調節)へ減量

 

[血栓塞栓症高リスク(呼吸困難、呼吸数>24/分、酸素飽和度<90%、C反応性蛋白の上昇、D-ダイマーの上昇、フィブリノゲンの上昇)]

☆集中治療室に入院 ⇒ ヘパリン点滴投与(aPTT値目標:60-85秒) 

⇒ポイントオブケア超音波検査 →陽性:抗凝固療法の継続 / →陰性:エノキサパリン40mg×2/日(腎機能により用量調節)へ減量

☆集中治療室に入院しない ⇒ エノキサパリン1mg/kg(腎機能により用量調節)もしくは、ヘパリン点滴投与(aPTT値目標:60-85秒)

⇒ポイントオブケア超音波検査 →陽性:抗凝固療法の継続 / →陰性:エノキサパリン40mg×2/日(腎機能により用量調節)へ減量

 

【参考情報】

エノキサパリン(低分子ヘパリン)の添付文書情報:

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054577

用法及び用量:通常、エノキサパリンナトリウムとして、12000IUを、原則として12時間毎に12回連日皮下注射する。腎障害のある患者では本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。クレアチニンクリアランス3050mL/minの患者に投与する場合は、国内臨床試験成績も踏まえて、症例毎の血栓リスク及び出血リスクを勘案して適用を慎重に判断すること。なお、出血の危険性が高いと考えられる場合には、投与間隔を延長することが望ましい(エノキサパリンナトリウムとして2000IU11回投与する)。

 Dダイマーの単位について:

https://sysmex-support.com/jp/section/faq/coagulation/13709.html

Dダイマー値を報告する際に使用される単位として、一般には『μg/mLng/mL)』が使用されているが、その値付けにはDダイマー単位とフィブリノゲン換算量(Fibrinogen Equivalent Unit FEU)の2種類がある。この両者間には、Dダイマー単位≒2×FEUの関係式が成り立つといわれている。

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