高齢HFpEFおよびHFrEF患者に対するリハビリテーション介入の効果比較



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34246602/ 

タイトル:Rehabilitation Intervention in Older Patients With Acute Heart Failure With Preserved Versus Reduced Ejection Fraction

<概要(意訳)>

背景:

REHAB-HF試験では、急性非代償性心不全(ADHF)で入院した高齢患者に対して、早期に複合領域のリハビリテーションを介入することで「身体機能、虚弱、生活の質、うつ病」が改善されることが示された。

本研究では、左室駆出率(LVEF)で分類したHFpEF(LVEF≧45%)およびHFrEF(LVEF<45%)の患者間におけるリハビリテーション介入効果の交互作用を評価した。

方法:

3ヶ月後の評価項目には、「Short Physical Performance Battery(SPPB:高齢者の下肢機能を評価)、6分歩行試験(6MWD)、カンザスシティ心筋症質問票(KCCQ:心不全に伴う症状、身体的制限、生活の質を評価)」等が含まれていた。

6ヶ月後の評価項目には、「全ての原因による再入院、全死亡、心不全による再入院」等が含まれていた。

事前に指定した交互作用の有意水準は、p≦0.1であった。

結果:

合計349例の内、HFpEF患者は185例(53%)、HFrEF患者は164例(47%)であった。

HFrEF患者と比較して、HFpEF患者は女性が多く(61% vs 43%)、ベースラインにおける「身体機能、虚弱、生活の質、うつ病」の状態が有意に低下していた。

JACC Heart Fail. 2021 Jun 29;S2213-1779(21)00231-6.

3ヶ月後の評価項目における「SPPBスコア(95%CI)」の効果量(単位)は、それぞれ、

HFpEF:+1.9(1.1~2.6)、p<0.001

HFrEF:+1.1(0.3~1.9)、p=0.009

 

3ヶ月後の評価項目における「6分間歩行距離」の効果量(m)は、それぞれ、

HFpEF:+40(9~72)、p=0.012

HFrEF:+27(-6~59)、p=0.11

 

3ヶ月後の評価項目における「KCCQスコア」の効果量(点)は、それぞれ、

HFpEF:+9(2~16)、p=0.014

HFrEF:+6(-6~59)、p=0.13

となり、各グループ間で有意な交互作用(順に、p=0.20、p=0.54、p=0.59)は認められなかったが、HFpEF患者の効果量が大きかった。

 

6ヶ月後の評価項目における「全ての原因による再入院率(95%CI)」の効果量は、それぞれ、

HFpEF:0.83(0.64~1.09)、p=0.18

HFrEF:0.99(0.74~1.33)、p=0.95

 

6ヶ月後の評価項目における「心不全による再入院率」の効果量は、それぞれ、

HFpEF:0.79(0.53~1.17)、p=0.24

HFrEF:0.92(0.62~1.35)、p=0.66

 

6ヶ月後の評価項目における「全死亡率」の効果量は、それぞれ、

HFpEF:0.63(0.25~1.61)、p=0.34

HFrEF:2.21(0.78~6.25)、p=0.14

となり、各グループ間で有意な交互作用(順に、p=0.40、p=0.60、p=0.08)は、「全死亡率」で認められ、3つの評価項目ともにHFpEF患者の効果量(%換算)が大きかった。

JACC Heart Fail. 2021 Jun 29;S2213-1779(21)00231-6.

結論:

急性非代償性心不全(ADHF)で入院した高齢のHFpEF(LVEF≧45%)患者は、HFrEF(LVEF<45%)患者と比較して、ベースラインにおける身体機能、QOL等の状態は有意に低下しており、早期にリハビリテーションを介入することでより大きなベネフィットを享受できる可能性が示唆された。

 

【参考情報】

2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン

https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/JCS2021_Makita.pdf 

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