PubMed URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31559458
タイトル:Predictive impact of early mobilization on rehospitalization for elderly Japanese heart failure patients.
<概要(意訳)>
背景:
日本の高齢心不全患者は複数の併発症を罹患していることに加えて、フレイルも多く、再入院率は高い。まだ、高齢心不全患者の早期運動療法と長期の臨床アウトカムの関連は明らかでない。本研究の目的は、高齢心不全患者の早期運動療法と再入院リスクの関連を検討することとした。
対象と方法:
2014年7月から2018年4月の間に、藤田保健衛生大学に心不全の悪化で入院した連続症例のうち、65歳未満、単独で10m歩行が困難、急性冠症候群、重度の認知症、精神疾患の病歴、試験の参加に同意しない患者を除外した。その結果、190人の心不全患者[平均年齢:80.7±8.5歳、女性:111人、平均LVEFは53.9%で、51例(26.8%)がLVEF <40%、併存症:高血圧52.1%、糖尿病37.8%、CKD59.4%、脳卒中14.2%]の「入院から運動療法までの時間」とその他の臨床的特徴を測定した。運動療法は、患者の血行動態が安定した後に、6分間歩行テスト(日常の歩行に使用していた杖や歩行器などの歩行補助具の使用は可)を行った。このテストは2回実施して歩行距離の長い方を分析対象とした。 プライマリアウトカムは、心不全の再入院とした。
結果:
フォローアップ期間中(中央値750日)、58例の患者が心不全の再入院となった。心電図、胸部X線、胸部CT、および心エコー検査所見により、重度の呼吸器疾患または重症の肺高血圧症患者はおらず、再入院した群としなかった群で6分間歩行距離、歩行速度、握力、薬物療法、追跡期間などに差はなかった。「入院から運動療法までの時間」は、再入院した患者の方が有意に長かった。単変量および多変量コックス比例ハザード分析により、入院から運動療法までの時間は再入院の独立した予測因子となった。また、ROC曲線(受信者動作特性曲線)により、最適カットオフ値は3日となった。(感度:76%、特異度:69%、曲線下面積:0.667)。Kaplan-Meier生存曲線分析では、3日以内に運動療法を開始したグループは4日以降に運動療法を開始したグループよりも再入院率が有意に低かった(p = 0.001、ログランク検定)。
結論:
「入院から運動療法までの時間」は、高齢心不全患者の強い再入院予測因子の1つである可能性がある。3日以内の早期運動療法は、心不全の急性期治療の最初の目標となるかもしれない。