PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35182038/
タイトル:Prevalence and prognostic impact of cognitive frailty in elderly patients with heart failure: sub-analysis of FRAGILE-HF
<概要(意訳)>
背景:
高齢心不全患者の「認知機能低下と身体的虚弱」は「予後」と関連していることがエビデンスから示唆されているが、これらが併発した「認知的フレイル(cognitive frailty)」が予後に及ぼす影響はまだ十分に調査されていない。
本研究では、高齢心不全患者の認知的フレイルの有病率と予後への影響を調査した。
方法:
本研究は、心不全で入院した65歳以上の患者を対象とした前向き多施設観察研究であるFRAGILE-HFコホート研究のサブ分析を実施した。
身体的虚弱の診断にはFriedらによって提唱されたCHS基準(表現型モデルに基づく評価法:Cardiovascular Health Stidy Index)を使用し、認知機能障害の診断にはMini-Cog 検査を使用した。
「退院後1年以内の全死亡と心不全再入院(複合イベント)」と「認知的フレイル」との関連を評価した。
結果:
FRAGILE-HFコホート研究に登録された被験者1,332例の内、1,215例(91.2%)は、身体的虚弱と認知機能障害を評価された。
この内、279例(23.0%)が、「認知的フレイル」の診断を受けた。
26例の追跡データが欠損していた為、認知的フレイルの予後への影響は、1,189例(97.8%)でのサブ分析が実施された。
ESC Heart Fail. 2022 Jun;9(3):1574-1583
退院後から1年のフォローアップ期間中に、398件の複合イベント(33.5%)が観察された。
複合イベントにおけるカプランマイヤー曲線では、認知的フレイルの高齢心不全患者は、「退院後1年以内の全死亡と心不全再入院」イベント率が高いことが示された(P log-rank=0.0146)。
共変量を調整した多変量解析(調整モデルC)では、非身体的虚弱と認知機能障害がない高齢心不全患者と比較した、各グループの複合イベントのハザード比は、それぞれ、
身体的虚弱あり・認知機能障害なし:HR 1.11(95%CI 0.83-1.49)、p=0.500
身体的虚弱なし・認知機能障害あり:HR 0.97(95%CI 0.67-1.42)、p=0.871
身体的虚弱あり・認知機能障害あり(認知的フレイル):HR 1.55(95%CI 1.13-2.13)、p=0.007
となり、「認知的フレイル」は「全死亡と心不全再入院」イベント発生率の上昇と有意な関連があることが示された。
ESC Heart Fail. 2022 Jun;9(3):1574-1583
さらに、全ての原因による死亡(全死亡)から心血管関連以外の死亡を除外した、「退院後1年以内の心血管関連死と心不全再入院」のリスクを同様に評価したところ、
身体的虚弱あり・認知機能障害なし:HR 1.38(95%CI 0.82-2.32)、p=0.216
身体的虚弱なし・認知機能障害あり:HR 0.82(95%CI 0.39-1.71)、p=0.596
身体的虚弱あり・認知機能障害あり(認知的フレイル):HR 1.89(95%CI 1.10-3.26)、p=0.021
となり、「認知的フレイル」は「心血管関連死と心不全再入院」イベント発生率の上昇と有意な関連があることが示された。
ESC Heart Fail. 2022 Jun;9(3):1574-1583
結論:
本研究では、高齢心不全患者の23%が認知的フレイル(身体的虚弱あり・認知機能障害あり)を併発しており、非身体的虚弱と認知機能障害がない高齢心不全患者と比較して、退院後1年以内の全死亡と心不全の再入院リスクが1.55倍上昇することが示された。
【参考情報】
高齢心不全患者のフレイル領域の数が再入院や死亡のリスクを高める
https://www.juntendo.ac.jp/news/20200619-03.html
認知機能と社会生活「フレイル」
https://cogniscale.jp/sociallife/flail/
認知的フレイルの視点から
https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/ninchisho-yobo-care/h30-4-7.html
Mini-Cog 検査および採点方法