HFrEF患者の虚弱状態におけるガイドライン推奨治療達成率と臨床転帰



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35361446/   

タイトル:Frailty, Guideline-Directed Medical Therapy, and Outcomes in HFrEF: From the GUIDE-IT Trial

<概要(意訳)>

背景:

HFrEF患者は虚弱リスク高く、虚弱の状態に応じたガイドライン推奨治療(GDMT)の状況は未だ明らかになっていない。

本研究では、HFrEF患者の虚弱状態におけるガイドライン推奨治療(GDMT)の達成率と臨床転帰を評価した。

方法:

GUIDE-IT試験に登録されたHFrEF患者の事後分析を実施した。

虚弱状態は、FI(Frailty Index:身体機能の低下の合計モデル)を使用して、評価した[クラス1:FI <0.21(非虚弱)、クラス2:FI=0.21-0.31(中等度の虚弱性)、クラス3:FI>0.31(高度の虚弱性)]。

ガイドライン推奨治療(GDMT)の内訳は、「β遮断薬、ACE阻害薬/ARB、MRA(鉱質コルチコイド受容体拮抗薬)」の3剤とした。

主要評価項目は、「心不全による入院、または心血管死の累積発生率」とした。

結果:

本研究には、879例の被験者(平均年齢63歳、FI の中央値0.33、女性31.5%)が含まれ、その内56.3%が高度の虚弱性(クラス3)であった。

虚弱状態におけるHFrEF患者の「心不全による入院、または心血管死の累積発生率」は、それぞれ、

クラス1[FI <0.21(非虚弱)]:22.7%

クラス2[FI=0.21-0.31(中等度の虚弱性)]:33%

クラス3[FI>0.31(高度の虚弱性)]:43.2%

となり、HFrEF患者の虚弱状態は、これらの臨床転帰リスクと有意な関連があることが示された(P log-rank<0.001)。

 

非虚弱と比較した、HFrEF患者の「心不全による入院、または心血管死のリスク」は、それぞれ、

クラス1[FI <0.21(非虚弱)]:reference

クラス2[FI=0.21-0.31(中等度の虚弱性)]:HR 1.42 (95%CI 0.94-2.16)、p=0.10

クラス3[FI>0.31(高度の虚弱性)]:HR 1.76 (95%CI 1.20-2.58)、p=0.004

となり、高度な虚弱状態のHFrEF患者は、これらの臨床転帰リスクが有意に高くなることが示された。

JACC Heart Fail. 2022 Apr;10(4):266-275.

ベースラインから12ヶ月における、GDMT(β遮断薬、ACE阻害薬/ARB、MRAの3剤治療)の達成率は、非虚弱(28.4%)と比較して、高度の虚弱(17.7%)はHFrEF患者のGDMT達成率を有意に低下させることが示された。

結論:

虚弱状態のHFrEF患者は、有害な臨床転帰(心不全による入院、または心血管死)リスクが有意に高くなり、ガイドラインで推奨される薬物治療(GDMT:β遮断薬、ACE阻害薬/ARB、MRAの3剤)の達成率と漸増率が低下することが示された。

JACC Heart Fail. 2022 Apr;10(4):266-275.

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