心不全リスク因子と年齢依存性の関連



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33758001/ 

タイトル:Age dependent associations of risk factors with heart failure: pooled population based cohort study

<概要(意訳)>

目的:

プールされたコホート研究(フラミンガム研究、PREVEND研究、MESA研究)の集団における偶発的心不全リスク因子の影響が年齢層によって異なるかどうかを評価することを目的とした。

方法:

心不全既往の無い24,675例の被験者を年齢によって、若年(<55歳;11,599例)、中年(55-64歳;5,587例)、高齢(65-74歳;5,190例)、超高齢(≧75歳;2,299例)の4つのグループに層別化した。

主要評価項目は、「偶発的な心不全の発症」とした。

結果:

追跡期間(中央値12.7年)の間に、若年、中年、高齢、超高齢は、それぞれ、138例(1%)、293例(5%)、538例(10%)、412例(18%)の心不全を発症した。

 

左室駆出率による心不全の分類[LVEF≧50%;HFpEF、LVEF<50%;HFrEF]の内訳は、若年、中年、高齢、超高齢で、それぞれ、

[44例(33%)、91例(67%)]、[97例(35%)、184例(65%)]、[184例(37%)、319例(63%)]、[179例(52%)、168例(48%)]となり、HFpEFの割合は、年齢層が高くなるにつれて上昇した。

 

心不全の危険因子[男性、肥満、高血圧、糖尿病、現喫煙、心筋梗塞の既往、心房細動の既往]に対する、年齢別のハザード比[HR(95%CI)]は、それぞれ、

<男性の場合>

若年(<55歳):1.51(1.07-2.15)

中年(55-64歳):1.65(1.29-2.10)

高齢(65-74歳):1.65(1.38-1.97)

超高齢(≧75歳):1.37(1.11-1.68)

となり、4グループ間で交互作用が示された(p<0.05)。

 

<肥満の場合>

若年(<55歳):2.03(1.39-2.96)

中年(55-64歳):1.69(1.32-2.16)

高齢(65-74歳):1.32(1.09-1.60)

超高齢(≧75歳):1.73(1.38-2.15)

となり、4グループ間で交互作用が示されなかった。

 

<高血圧の場合>

若年(<55歳):3.02(2.10-4.34)

中年(55-64歳):2.23(1.72-2.91)

高齢(65-74歳):2.19(1.76-2.73)

超高齢(≧75歳):1.43(1.13-1.81)

となり、4グループ間で交互作用が示された(p<0.05)。

 

<糖尿病の場合>

若年(<55歳):3.86(2.39-6.23)

中年(55-64歳):2.93(2.20-3.90)

高齢(65-74歳):1.98(1.59-2.46)

超高齢(≧75歳):1.66(1.24-2.24)

となり、4グループ間で交互作用が示された(p<0.05)。

 

<現喫煙の場合>

若年(<55歳):2.58(1.83-3.63)

中年(55-64歳):1.25(0.96-1.63)

高齢(65-74歳):1.43(1.15-1.77)

超高齢(≧75歳):1.21(0.80-1.83)

となり、4グループ間で交互作用が示された(p<0.05)。

 

<心筋梗塞の既往の場合>

若年(<55歳):3.30(1.77-6.14)

中年(55-64歳):4.40(3.17-6.10)

高齢(65-74歳):2.92(2.28-3.74)

超高齢(≧75歳):1.35(0.89-2.08)

となり、4グループ間で交互作用が示された(p<0.05)。

 

<心房細動の既往の場合>

若年(<55歳):4.74(1.44-15.6)

中年(55-64歳):2.62(1.51-4.52)

高齢(65-74歳):2.31(1.67-3.21)

超高齢(≧75歳):2.26(1.62-3.15)

となり、4グループ間で交互作用が示されなかった。

BMJ. 2021 Mar 23;372:n461.

これらの結果から、「高血圧、糖尿病、現喫煙、心筋梗塞の既往」は、年配の被験者よりも若年者の方が心不全リスクに大きな影響があることが示された。

結論:

高齢者と比較して、若年者の心不全発症率は低いにもかかわらず、修正可能なリスク因子は若年者の方が心不全発症に大きな影響を受けることが示された。

このことは成人が人生を送る上で、修正可能なリスク因子に対する予防努力の重要性を浮き彫りにしている。

 

【参考情報】

相対リスク、寄与リスク、リスク低下、オッズ比の違い

https://www.phamnote.com/2019/01/blog-post_6.html 

寄与危険と寄与危険割合

https://jeaweb.jp/glossary/glossary018.html 

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