日本人2型糖尿病患者の全死亡に対する股関節骨折の影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31111663/ 

タイトル:Impact of hip fracture on all-cause mortality in Japanese patients with type 2 diabetes mellitus: The Fukuoka Diabetes Registry

<概要(意訳)>

背景:

2型糖尿病患者は、股関節骨折のリスクが高くなる。

本研究(福岡県糖尿病患者データベース研究)では、日本人2型糖尿病患者の「股関節骨折」、心血管疾患(CVD)、末期腎疾患(ERSD)が「全ての原因による死亡」に与える影響を比較調査した。

方法:

平均年齢65歳の日本人2型糖尿病患者4,923人(男性:2,790人、女性:2,133人)を前向きに追跡(中央値5.3年、追跡率99.5%)した。

「股関節骨折(n=110)、上肢骨折(n=801)、CVD(n=1,344)、ESRD(n=104)」と「全死亡」との関連をロジスティック回帰分析により評価した。

結果:

「股関節骨折、上肢骨折、CVD(心血管疾患)、ESRD(末期腎不全)」の罹患有無における年齢と性別で調整した全死亡(1,000人/年)を調査した結果、

「上肢骨折」は、罹患有無で全死亡に有意な差はなかったが、

「股関節骨折、CVD、ESRD」の罹患有りは、罹患無しの2型糖尿病患者と比較して、全死亡が有意に多かった(p<0.001)。

J Diabetes Investing. 2020 Jan;11(1):62-69.

「股関節骨折、上肢骨折、CVD(心血管疾患)、ESRD(末期腎不全)」の罹患有無における全死亡のオッズ比(OR)を調査した結果、

「年齢と性別で調整したOR」では、「上肢骨折」を除く、「股関節骨折、CVD、ESRD」の罹患有りは、罹患無しの2型糖尿病患者と比較して、

全死亡のOR[股関節骨折:2.99(95%CI 1.75-4.89)、CVD:2.03(95%CI 1.59-2.58)、ESRD:3.31(95%CI 1.89-5.52)]が有意に高かった。

「多変量で調整したOR」でも、「上肢骨折」を除く、「股関節骨折、CVD、ESRD」の罹患有りは、罹患無しの2型糖尿病患者と比較して、

全死亡のOR[股関節骨折:2.67(95%CI 1.54-4.41)、CVD:1.78(95%CI 1.39-2.27)、ESRD:2.36(95%CI 1.32-4.05)]が有意に高かった。

さらに、「CVDとESRDを追加し調整したOR」でも、「股関節骨折」の罹患有りは、罹患無しの2型糖尿病患者と比較して、

全死亡のOR[2.74(95%CI 1.58-4.54)]の有意性は不変であった。

J Diabetes Investing. 2020 Jan;11(1):62-69.

「股関節骨折、上肢骨折、悪性腫瘍、CVD(心血管疾患)、ESRD(末期腎不全)」の5グループにおける死因(感染、心血管疾患、悪性腫瘍、その他)を調査した結果、

感染が死因の最上位を占めたのは、股関節骨折(40%)、ESRD(37%)、

悪性腫瘍が死因の最上位を占めたのは、上肢骨折(35%)、全体(37%)、

心血管疾患が死因の最上位を占めたのは、CVD(34)%となり、

5グループ間の死因の違いに差はなかった(p=0.09)。

しかしながら、死因における「感染」の割合は、「股関節骨折」グループの方がその他グループよりも有意に高かった(p=0.03)。

J Diabetes Investing. 2020 Jan;11(1):62-69.

結論:

「股関節骨折」は、「CVDおよびESRD」と関係なく、日本人2型糖尿病患者の死亡リスクの増加と関連していた。

CVDを罹患した2型糖尿病の高齢患者の予後が改善している現代において、「股関節骨折」は注目すべきイベントであるが、「股関節骨折」の予防が2型糖尿病患者の生存率を向上させるかどうかは、未だ明らかになっていない。

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