PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30509277/
タイトル:AST to ALT ratio and arterial stiffness in non-fatty liver Japanese population: a secondary analysis based on a cross-sectional study
<概要(意訳)>
背景:
トリグリセリドと高密度リポタンパク質コレステロールの比率(TG / HDL-C比)が、心血管疾患、インスリン抵抗性、代謝症候群の主な危険因子の1つであることは過去の研究から明らかになっている。
しかしながら、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼとアラニンアミノトランスフェラーゼの比率(AST/ALT比)と上腕動脈-足首動脈間PWV(baPWV)との相関関係については、ほとんど調査されていない。
本研究では、日本人集団におけるAST/ALT比とbaPWVとの関連を調査した。
方法:
本研究は、2004年3月から2012年12月の間に健診センターを受診した脂肪肝のない日本人男女合計646例(年齢:24~84歳、平均年齢:51.5±9.6歳)を対象とした横断的研究である。
主要評価項目は、「脂肪肝のない日本人集団のAST/ALT比とbaPWVとの関連」とした。
脂肪肝の診断は、腹部超音波検査を使用した。
結果:
潜在的な交絡因子[年齢、性別、BMI、SBP(収縮期血圧)、DBP(拡張期血圧)、AST(GOT)、ALT(GPT)、GGT(γ-GTP)、尿酸、空腹時血糖値、TC、LDL、eGFR、喫煙と運動の状況、脂肪肝、アルコール消費量、ABI(足関節上腕血圧比)]を調整した結果、AST/ALT比とbaPWVの間には、非線形の相関関係が示された。
AST/ALT比≧13.1の場合に、baPWVと正の相関が認められた[β=10.9、(95%CI 3.3 ~18.6)、p=0.005]。
Lipids Health Dis. 2018 Dec 3; 17(1): 275.
結論:
脂肪肝がなく、ABI(足関節上腕血圧比)≧0.95の日本人集団におけるAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)/ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)比とbaPWV(上腕動脈-足首動脈間PWV)の間には非線形の相関関係が示された。
また、AST/ALT比が13.1以上の場合には、baPWVと正の相関(AST/ALT比が0.1の上昇に伴い、baPWVが10.9上昇する)があることが示された。
【参考情報】
baPWVの精度低下の目安となるABIの検討
http://www.arterial-stiffness.com/pdf/no09/080_081.pdf
冠動脈ハイリスクプラークの予測におけるTG/HDL-C比の有用性
http://dm-rg.net/news/2016/05/017618.html
線形モデル
http://www.ier.hit-u.ac.jp/~kitamura/lecture/Hit/08Statsys4.pdf