PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32165164/
タイトル:Efficacy of SGLT-2 inhibitors in older adults with diabetes: Systematic review with meta-analysis of cardiovascular outcome trials
<概要(意訳)>
目的:
SGLT2阻害薬とスタチンは、特に、心血管疾患の既往歴がある2型糖尿病患者に有益な心血管保護効果が期待できる経口薬である。
本研究では、年齢(高齢/非高齢)とスタチン使用有無により層別化された2型糖尿病患者のMACE(主要有害心血管イベント)リスクに対するCVOT(心血管アウトカム試験)の系統的レビューとメタアナリシスを計画した。
方法:
電子検索は2020年1月20日まで実施した。
成人2型糖尿病患者の従来治療にSGLT2阻害薬とプラセボを追加したRCT(ランダム化比較試験)でMACEを主要転帰とした試験を対象とした。
事後分析の統計的影響を最小限に抑えるために、評価項目はMACEに限定した。
ランダム効果(変量効果)モデルを使用して、ハザード比[HR(95%CI)]を算出した。
Diabetes Res Clin Pract. 2020 Apr;162:108114.
結果:
スクリーニングされた論文60報の内、3つのCVOTと2つのサブ解析が適格性基準に合致し、成人2型糖尿病患者34,323例が分析対象となった。
全ての試験は、並行群間比較試験(2015年から2020年に公開)であり、ベースラインの平均HbA1c 8.1~8.2%、群間の背景は同等であった。
試験のサイズは7,021例(EMPA-REG OUTCOME試験)から17,160例(DECLARE試験)の範囲であり、年齢(平均年齢:63~64歳)は同等であった。
コクラン共同計画(Cochrane Collaboration)により評価したバイアスには、大きなリスクはなかった。
SGLT2阻害薬の3つのCVOTにおける65歳以上の糖尿病患者の割合は、44.5%(EMPA-REG試験)、46%(DECLARE試験)、60%(CANVAS試験)の範囲で、合計17,105例であった。
3つのCVOTを含む全体的な分析では、MACEの(相対)リスクは、プラセボと比較して11%[HR(95%CI 0.83-0.96);p<0.001]減少し、試験間の異質性[参考]I2<25%:異質性低い、I2>75%:異質性高い]は低かった(I2=0)。
「年齢」で層別化されたMACEリスク[HR(95%CI)]は、それぞれ、
65歳未満:0.95(0.86-1.05)、I2=0.00%
65歳以上:0.83(0.71-0.96)、I2=58.42%
となり、MACEに対する有意な効果は「65歳以上」で示されたが、年齢に関わらずSGLT2阻害薬のMACEに対する効果は同程度であった(交互p=0.15)。
Diabetes Res Clin Pract. 2020 Apr;162:108114.
「スタチンの使用有無」で層別化されたMACEリスク[HR(95%CI)]は、それぞれ、
スタチン使用有:0.87(0.81-0.94)、I2=0.00%
スタチン使用無:0.88(0.77-1.01)、I2=0.00%
となり、MACEに対する有意な効果は「スタチン使用有」で示されたが、スタチンの使用有無に関わらずSGLT2阻害薬のMACEに対する効果は同程度であった(交互p=0.90)。
Diabetes Res Clin Pract. 2020 Apr;162:108114.
結論:
本研究では、SGLT2阻害薬の2型糖尿病患者に対するMACE(主要有害心血管イベント:非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死)の有効性は年齢に関わらないことが示され、スタチンによる心血管保護効果をより高めることが示唆された。
【参考情報】
メタアナリシス (エビデンスの統合)