PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33441402/
タイトル:Sodium-glucose cotransporter protein-2 (SGLT-2) inhibitors and glucagon-like peptide-1 (GLP-1) receptor agonists for type 2 diabetes: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials
<概要(意訳)>
目的:
心血管および腎疾患のリスクが異なる2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の有用性をネットワークメタ解析により評価する。
方法:
2016年3月~2020年8月11日の間に、Medline、Embase、Cochrane CENTRALの情報検索データベースで、成人の2型糖尿病患者を対象に「SGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬」を「プラセボ、標準治療、その他の血糖降下薬」と比較した、フォローアップ期間24週以上のランダム化比較試験が抽出され、適格性とバイアスのリスク評価が2名のレビュアーにより実施された。
変量効果モデルを使用したネットワークメタ解析(NMA)を実施し、GRADEシステムにより確実性や効果の大きさを示した。
臨床アウトカム(全死亡、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、腎不全、心不全による入院、糖尿病性ケトアシドーシス、性器感染症、体重減少)は、Very low(心血管リスク因子がない)、Lowリスク(3つ以上の心血管リスク因子)、Moderateリスク(心血管疾患)、Highリスク(慢性腎臓病)、およびVery highリスク(心血管疾患および腎疾患)の5段階リスク別の患者に対し、5年間治療した1,000人当たりの効果推定値が含まれた。
結果:
421,346例を含む764件の試験が、本研究の適格性に一致した。
全ての結果は、既存の糖尿病治療に対するSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の追加効果として示された。
両クラスの薬剤は、「全死亡、心血管死、非致死的心筋梗塞、腎不全」を低下させることが示された(高い確実性)。
2つの薬剤における有効性と安全性には、下記の差異が示された。
SGLT2阻害薬は、GLP-1受容体作動薬よりも、「全死亡と心不全による入院」を減少させることが示された。
また、GLP-1受容体作動薬は、SGLT2阻害剤よりも「非致命的脳卒中」を減少させた。
SGLT2阻害薬では「生殖器感染」、GLP-1受容体作動薬では「重度の胃腸障害」を引き起こすことが示された。
SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬で示された「体重減少」は、確実性が低かった。
「四肢切断、失明、眼疾患、神経因性疼痛、健康関連のQOL」に対するSGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬の効果についてのデータは、見つからなかった。
BMJ. 2021 Jan 13; 372: m4573.
結論:
2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬は「心血管・腎のアウトカム」を低下させたが、有効性と安全性には顕著な違いが示された。
臨床診療で得られる絶対的ベネフィットは、患者個々のリスクプロファイルによって決定されるだろう。
【参考情報】
心血管腎リスク別の糖尿病治療の意思決定支援ツール
https://magicevidence.org/match-it/200820dist/#!/#%EF%BC%81%2F
メタアナリシス (エビデンスの統合)
http://www.grade-jpn.com/meta_analysis3.html
メタアナリシス – GRADEシステムとEBM