PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32768332/
タイトル:Hemoglobin glycation index in relationship to the risk of cardiovascular complication in patients with type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis
<概要(意訳)>
背景:
これまでのところ、HGI(hemoglobin glycation index:実測HbA1c値と空腹時血糖値から算出される予測HbA1c値の差)と2型糖尿病(T2DM)患者の心血管リスクとの関連には未だコンセンサスがなかった。
本研究では、HGIがT2DM患者の心血管系合併症の指標になり得るという仮説を検証するために、系統的レビューとメタ分析を実施した。
方法:
2002年1月~2019年4月の間に、HGIとT2DM患者の心血管転帰のリスクと全死亡との関連を評価した文献をPubMedおよびEmbaseデータベースを使用して体系的に検索した。
固定効果モデルと変量効果モデルのメタ分析を使用して、プールされた調整済みハザード比(HR)を計算した。
J Diabetes Complications. 2020 Jul 10; 107673.
結果:
今回の系統的レビューには、6件の前向きコホート研究と1件のケースコントロール研究(n = 37,280)が含まれた。
サンプルサイズの範囲は、800〜11,083人であった。 5つの研究では、1000人を超えるT2DM患者が含まれていた。平均追跡期間は1~11.1年であった。
アメリカで2件、中国で1件、韓国で1件、デンマークで1件の研究が実施され、1件の多施設研究には、オランダ、オーストラリア、米国、フランス、カナダ、イタリア、英国が含まれていた。
ほとんどの研究には、心血管疾患(CVD)の罹患歴、またはリスクのある患者集団が含まれていた。
全ての研究で、年齢、性別、CVD危険因子を調整して統計分析した。
ほとんどの研究では、ベースラインのHGIを三分位数により、被験者を高HGI(同じHbA1c値でも相対的に血糖が低い)、中等度HGI、低HGI(同じHbA1c値でも相対的に血糖が高い)の3群に分類した。
HGIを四分位数により、4群に分類した研究は1件だけであった。
HGIとCVDリスクの有意な関連が認められたのは、
中等度HGI群と比較した、高HGI群のCVDリスク増加[平均HR(95%CI)]、1.25(1.16-1.36)であった。
J Diabetes Complications. 2020 Jul 10; 107673.
HGIと全死亡リスクの有意な関連が認められたのは、
中等度HGI群と比較した、高HGI群の全死亡リスク増加[平均HR(95%CI)]、1.26(1.14-1.39)であった。
低HGI群と比較した、高HGI群の全死亡リスク増加[平均HR(95%CI)]、1.25(1.03-1.52)であった。
J Diabetes Complications. 2020 Jul 10; 107673.
結論:
HGI(ヘモグロビン糖化指数)は、T2DM患者の心血管疾患と全死亡リスクを予測できる。
HGIは、T2DM患者個々の心血管合併リスクプロファイルを確認するのに役立つ可能性がある。
【参考情報】
The hemoglobin glycation index identifies subpopulations with harms or benefits from intensive treatment in the ACCORD trial
https://care.diabetesjournals.org/content/diacare/38/6/1067.full.pdf
今日からできる!正しいHbA1c値の使い方
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t336/201908/561979.html
強化療法論争の先にある糖尿病治療の未来
https://square.umin.ac.jp/massie-tmd/beyondigc.html
固定効果モデルと変量効果モデル(動画)
https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/graduate-school-of-medicine-jp/12/video05/04
固定効果と変量効果
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2015/04/pdf/006-009.pdf