HFpEF患者における血清アルブミン値の影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31843232/

タイトル:Effect of Serum Albumin Levels in Patients With Heart Failure With Preserved Ejection Fraction (from the TOPCAT Trial)

<概要(意訳)>

背景:

HFpEF患者における血清アルブミン値の決定因子と予後への影響を検討したデータは、ほとんどない。

我々は、HFpEF患者の血清アルブミン値におけるバイオマーカー等との相関と予後への影響を調査した。

方法:

TOPCAT試験に登録された被験者3,254人のデータを分析した。

被験者の血清アルブミン値(g/dL)を3分位で層別化[Tertile①<=3.9(n=990)、Tertile②>3.9-4.3(n=1,102)、Tertile③>4.3(n=1,173)]し、これら層別間におけるタンパク質バイオマーカー[白血球、CRP、IL-1、IL-6 、TNF-α、TNF-RⅠ、TNF-RⅡ、YLK-40 (NAFLDにおける肝線維化マーカー)等]との相関を調査した。

主要評価項目(心血管死、致死性不整脈からの回復、心不全による入院)と「全ての原因による死亡、または心不全による入院」における血清アルブミン値との関係も評価した。

結果:

患者背景は、低アルブミン値に比例し、「年齢、BMI、黒人比率」が高く、「COPD、末梢動脈疾患、心房細動、糖尿病の罹患率」が高く、「拡張期血圧と腎機能」は低下している特徴が示された。

また、血清アルブミン値の低下に伴い、白血球数と、CRPとIL-6を除く炎症性バイオマーカー(IL-6 、TNF-α、TNF-RⅠ、TNF-RⅡ)が上昇し、肝線維化スコア(Modified NAFLD スコア、Fib-4スコア)の上昇も認められた。

更に、動脈硬化、拡張機能障害、肺高血圧症のリスク増加の関連も認められた。

Am J Cardiol. 2020 Feb 15; 125(4):575-582.

カプランマイヤー分析による、

主要評価項目(心血管死、致死性不整脈からの回復、心不全による入院)の累積発症率は、血清アルブミン値の低下に伴い、有意な増加が認められた(p<0.0001)。

「全ての原因による死亡、または心不全による入院」の累積発症率も、血清アルブミン値の低下に伴い、有意な増加が認められた(p<0.0001)。

Am J Cardiol. 2020 Feb 15; 125(4):575-582.

また、主要評価項目(心血管死、致死性不整脈からの回復、心不全による入院)の発症リスクは、血清アルブミン値4.6 g/dLが最小リスク[HR 0.34(95%CI 0.22-0.52)、p<0.0001]となり、4.6~3.7g/dLに低下するにつれて、(正常範囲内にも関わらず)急激に増加した。

「全ての原因による死亡、または心不全による入院」の発症リスクも、血清アルブミン値4.6 g/dLが最小リスク[HR 0.51(95%CI 0.35-0.75)、p=0.0006]となり、4.6~3.7g/dLに低下するにつれて、(正常範囲内にも関わらず)急激に増加した。

Am J Cardiol. 2020 Feb 15; 125(4):575-582.

結論:

血清アルブミンは、全身性炎症、腎機能障害、肝機能障害、拡張機能障害、動脈硬化に関連した統合マーカーであることが示唆された。

また、血清アルブミンは正常の範囲内であっても、従来のHFpEF患者の有害転帰リスク因子とは独立した強力なリスク予測因子であった。

 

【参考情報】

TOPCAT試験

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/clupd/201401/534584.html

血清アルブミン

http://www.chikubageka.jp/assets/files/pdffolder/nstletter32.pdf

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