心房細動合併急性心不全患者における心拍数低下の予後への影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34248134/ 

タイトル:Prognostic Implications of Reductions in Heart Rates in Patients With Acute Heart Failure and Atrial Fibrillation

<概要(意訳)>

背景:

心房細動(AF)は急性心不全(AHF)患者によく見られる不整脈である。

心拍数(HR)は時間経過とともに大幅に変化するが、心房細動合併急性心不全患者におけるHRの変化と予後との関連は不明である。

方法:

REALITY-AHF研究において、AF合併HF患者の入院から48時間以内に達成されたHR低下と60日死亡率との関連を調査した。

入院から48時間以内に達成されたAFのHR低下と、AHF患者の60日死亡率との関連を調査しました。

HR(%HR)の減少率は、(ベースラインのHR-入院後48時間のHR)/ベースラインのHR×100として計算した。

被験者はHR減少率の三分位に従って、3つのグループ(T1: 25.5〜65.8%の減少、T2: 9.4〜25.4%の減少、T3: -97.6%〜9.0%の減少)に分類された。

主要評価項目は、「60日間の全ての原因による死亡率(全死亡率)」とした。

結果:

入院時と入院後48時間でAFが確認された急性心不全患者468例(平均年齢 78±12歳、男性 51.2%、平均LVEF 48±16%、LVEF>50% 44.2%)が本研究の対象被験者となり、これらの時点でのHRの中央値は、それぞれ、105±31と84±18拍/分(bpm)であった。

HR減少率の中央値は、15.4(IQR 2.2-31.4)%で、105例(22.4%)は入院後48時間においてHRの増加を示した。

 

HR減少率が最小のT3グループは、他のグループと比較して、「高齢、収縮期および拡張期血圧の低値、入院時HRの低値、HFの既往、白血球数の低値、アルブミンとヘモグロビンの低値、腎機能低下(クレアチニンの高値)」等の特徴があった。

心臓植込み型電子機器の使用割合は、グループ間で有意な差はなかった。

また、一部の心拍数低下薬(ジゴキシン、ジルチアゼム、ランジオロールなど)は、T1グループで多く使用されていたが、カテコールアミンの使用割合は、グループ間で有意な差はなかった。

 

入院後60日間で39例(8.3%)の死亡が記録された。

カプランマイヤー分析では、「HR減少率が大きいほど、全死亡率が低下する」ことが示された(Log-rank p=0.028)。

Cox回帰分析では、「入院後48時間以内のHR減少率は、入院後60日内の全死亡率と有意に関連している」ことが、未調整ハザード比(HR 0.85; 95%CI 0.77-0.95; p=0.005)および調整ハザード比(HR 0.81; 95%CI 0.68-0.96; p=0.016)においても示された。

ROC曲線 (受信者動作特性曲線)において、「入院後60日間の全死亡を予測するHR減少率のカットオフ値は23.2%(HR 21回/分の減少)」であることが示された。

Circ J. 2021 Jul 9. doi: 10.1253/circj.CJ-21-0269.

結論:

心拍数の減少率は、心房細動を合併した急性心不全患者、特に心室反応が速い患者の短期予後の改善に関連していることが示された。

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