PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31336093/
タイトル:Prior Heart Failure Hospitalization and Outcomes in Patients With Heart Failure With Preserved and Reduced Ejection Fraction
<概要(意訳)>
背景:
心不全の入院歴は、その後における心不全の外来患者の予後不良に関連している。 しかし、心不全サブタイプ、特に、HFpEF患者の臨床転帰については、あまり知られていない。
本研究では、過去6ヶ月以内に心不全の入院歴有りと無しのHFpEF患者とHFrEF患者の臨床転帰(全ての原因による死亡、全ての原因による入院、心不全による入院)との関連を調査した。
方法:
高齢者および障害者向けの公的医療保険であるメディケアとリンクしているOPTIMIZE-HFレジストリー(登録期間:2003年3月1日~2004年12月31日、対象施設:259病院)に登録されている入院患者25,345人の内、心不全患者は22,491人であり、その内、HFpEF(EF≧50%)患者は7,648人、HFrEF患者(EF≦40%)は9,558人であった。
ベースライン特性における58項目の共変量を傾向スコアでマッチングさせた結果、
HFpEF患者では、入院歴有り:入院歴無し=924人:924人となり、合計1,848人のコホートとなった。
HFrEF患者では、入院歴有り:入院歴無し=1,844人:1,844人となり、合計3,688人のコホートとなった。
Cox回帰分析を用いて、6年間のフォローアップ期間の臨床転帰への影響をハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)により評価した。
結果:
HFpEF患者のコホートにおける、入院歴無し(n=924)に対する入院歴有り(n=924)の臨床転帰に対する影響[HR(95%CI);p値]は、
全ての原因による死亡:656 (71%) vs 747 (81%)[1.35 (1.21-1.50) ; p<0.001]であった。
この結果は、年齢(80未満/以上)、性別、人種、eGFR(45未満/以上)、心拍数(70未満/以上)と冠動脈疾患、糖尿病、心房細動、RAS系阻害薬、β遮断薬の有無でフォレストプロットしても一貫した結果を示していた。
全ての原因による入院:827 (90%) vs 830 (90%)[1.34 (1.21-1.47) ; p<0.001]であった。
心不全による入院:407 (44%) vs 552 (60%)[1.90 (1.67-2.16) ; p<0.001]であった。
HFrEF患者のコホートにおける、入院歴無し(n=1,844)に対する入院歴有り(n=1,844)の臨床転帰に対する影響[HR(95%CI);p値]は、
全ての原因による死亡:1,354 (73%) vs 1,463 (79%)[1.17 (1.09-1.26) ; p<0.001]であった。
全ての原因による入院:1,595(86%) vs 1,637 (89%)[1.32 (1.23-1.41) ; p<0.001]であった。
心不全による入院:1,061 (58%) vs 1,249 (68%)[1.48 (1.37-1.61) ; p<0.001]であった。
結論:
過去6ヶ月以内に心不全の入院歴がある高齢HFpEF患者は、その後における「全ての原因による死亡、全ての原因による入院、心不全による入院」のリスクが高かった。
HFrEFとの相対リスクでは、同等またはそれ以上であった。 今後は、心不全の入院歴のある心不全患者の転帰を改善する可能性のある治療の介入や研究が必要である。