PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29660782/
タイトル:Sodium–glucose cotransporter 2 inhibitor‐induced changes in body composition and simultaneous changes in metabolic profile: 52‐week prospective LIGHT (Luseogliflozin: the Components of Weight Loss in Japanese Patients with Type 2 Diabetes Mellitus) Study
<概要(意訳)>
背景:
SGLT2阻害薬の治療によって誘発される体組成の変化は、代謝パラメーターの変化とどのように相関するかは未だ分かっていない。
本研究では、SGLT2阻害薬の治療で変化する体組成と代謝パラメーターの相関とサルコペニア(骨格筋指数)と骨塩量(BMC)に与える影響を調査した。
方法:
SGLT2阻害薬(ルセオグリフロジン2.5mg/日、効果不十分な場合は12週以降に5㎎/日へ増量)で1年間治療された中等度肥満の日本人2型糖尿病患者を前向きに観察し、体組成の変化を評価した。
治療中における体組成の変化、他の臨床変数との相関を分析した。
結果:
2014年10月~2015年6月の間、外来受診の2型糖尿病患者43例(HbA1c 7.0〜10.5%、BMI 20.0〜35.0 kg/m2、年齢 20〜65歳)が登録され、安全性分析セットには39例、有効性分析セットには37例が対象となった。
<主な代謝パラメーターの変化>
「空腹時血糖値とHbA1c」は、ベースラインと比較して、24週と52週時にかけて有意に減少した(各p<0.001)。
「血中ケトン体のアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸」は、ベースラインと比較して、24週と52週時にかけて有意に増加した(各p<0.001)が、危険レベルではなかった。
<主な体組成の変化>
「体重、BMI、ウエスト周囲」は、ベースラインと比較して、24週と52週時にかけて有意に減少した(各p<0.001)が、24週と52週時には有意な差はなかった。
「体重、BMI、ウエスト周囲」の減少は、24週以降は安定していた。
「徐脂肪体重」は、ベースラインと比較して、24週(p<0.01)と52週(p<0.001)時で、それぞれ、有意に減少した。
「総脂肪量(内臓脂肪+皮下脂肪)」は、ベースラインと比較して、24週と52週時で有意に減少した(各p<0.001)。
「内臓脂肪」は、ベースラインと比較して、24週と52週時で有意な減少はなかった。
「皮下脂肪」は、ベースラインと比較して、24週時で有意に減少した(p<0.01)が52週時とは差がなかった。
「骨格筋量指数(SMI)」は、ベースライン(7.74 kg/m2)と比較して、52週時で有意な減少(p<0.05)があったが、数値的には-0.155 kg/m2と小さかった。
「骨塩量(BMC)」は、ベースラインと比較して、24週と52週時ともに有意な減少はなかった。
J Diabetes Investig. 2019 Jan; 10(1): 108-117.
<脂肪と臨床パラメーターとの相関>
総脂肪量は、24週と52週時の「腹囲、BMI、皮下脂肪」と有意な正の相関を示した。
内臓脂肪は、24週と52週時の「体重、BMI」と有意な正の相関を示し、「遊離脂肪酸とβ-ヒドロキシ酪酸」とは有意な負の相関を示した。
また、24週時の内臓脂肪は、ベースラインの内臓脂肪と負の相関を示し(r=-0.399、p=0.023)、
とくにベースラインの内臓脂肪面積≧187cm2の全ての患者で減少した。
結論:
SGLT2阻害薬による治療は、中等度肥満の日本人2型糖尿病患者の体組成と代謝に好影響を与え、筋肉と骨には殆ど影響を与えなかった。
【参考情報】
骨量と骨密度の違い
https://news.yahoo.co.jp/articles/92fd8f862b60c77d91f586358a1c38e6ffab3eda
SMI(骨格筋指数)