2型糖尿病の寛解と脂肪肝との関連



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32565288/ 

タイトル:Inverse Association Between Fatty Liver at Baseline Ultrasonography and Remission of Type 2 Diabetes Over a 2-Year Follow-up Period

<概要(意訳)>

背景:

2型糖尿病の寛解には、脂肪肝の改善が必要な場合がある。

しかしながら、脂肪肝が2型糖尿病の寛解の可能性を低減するかどうかについての縦断的エビデンスはない。

本研究では、1次分析として「脂肪肝と2型糖尿病の寛解との関連」、2次分析として「脂肪肝の改善と2型糖尿病の寛解との関連」を調査した。

方法:

日本の単施設で2008年から2016年の間に、2型糖尿病のスクリーニングを受けた66,961例のデータを収集した。

 

一次分析で対象となった慢性腎不全または血液透析の既往のない2型糖尿病患者2,567例は、脂肪肝を検出する為に超音波検査を受けた。

これらの患者は、超音波検査後の追跡期間(中央値24.5ヶ月)中に、血液検査を含むフォローアップ検査を受けた。

 

二次分析には、2回目の超音波検査を受け、スクリーニング時の超音波検査で脂肪肝が検出された1,833例が含まれ、2回目の超音波検査で脂肪肝が検出されなかった患者は脂肪肝が改善したとみなした。

Clin Gastroenterol Hepatol. 2021 Mar;19(3):556-564.e5.

2型糖尿病の寛解は、「抗糖尿病薬での治療が6ヶ月以上なく、126㎎/dL未満の空腹時血糖値、6.5%未満のHbA1c値」と定義された。

2型糖尿病の寛解のオッズ比(OR)は、ロジスティック回帰モデルを使用して推定した。

結果:

一次分析で超音波検査を受けた2型糖尿病患者2,567例の内、1,910例は脂肪肝が検出され、657例は脂肪肝が検出されなかった。

1,910例の内、77例は2回目の超音波検査データを受けず、152例は脂肪肝の改善が認められ、1,681例は脂肪肝の改善が認められなかった。

 

ベースラインの超音波検査で脂肪肝が検出されなかった2型糖尿病患者では、13.1%(86/657例)に2型糖尿病の寛解が認められた。

 

ベースラインの超音波検査で脂肪肝が検出された2型糖尿病患者では、8.7% (167/1,910例)に2型糖尿病の寛解が認められた。

 

ゆえに、ベースラインにおける脂肪肝は、2型糖尿病の寛解に対する調整オッズ比の低下に関連していることが示された[OR 0.51(95%CI 0.37-0.72);p< 0.001]。

Clin Gastroenterol Hepatol. 2021 Mar;19(3):556-564.e5.

2回目の超音波検査で脂肪肝の改善が認められた2型糖尿病患者では、21.1%(32/152例)に2型糖尿病の寛解が認められた。

 

2回目の超音波検査で脂肪肝の改善が認められなかった2型糖尿病患者では、7.7%(129 /1,681例)に2型糖尿病の寛解が認められた。

 

ゆえに、脂肪肝の改善は、2型糖尿病の寛解に対する調整オッズ比の増加に関連していることが示された[OR 3.08(95%CI 1.94-4.88);p< 0.001]。

Clin Gastroenterol Hepatol. 2021 Mar;19(3):556-564.e5.

結論:

約2年間の追跡期間において、ベースラインの超音波検査で脂肪肝が検出された2型糖尿病の寛解率の低減と関連していた。

また、脂肪肝の改善は、2型糖尿病の寛解と独立して関連していた。

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