2型糖尿病初期における集中的ライフスタイル介入の体重と血糖に対する効果



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32445735/ 

タイトル:Effect of intensive lifestyle intervention on bodyweight and glycaemia in early type 2 diabetes (DIADEM-I): an open-label, parallel-group, randomised controlled trial

<概要(意訳)>

背景:

2型糖尿病は、特に中東(参考:インド以西のアフガニスタンを除く西アジアとアフリカ北東部の総称)と北アフリカで発症する若年者が急増している。

本研究では、集中的なライフスタイル介入が、早期糖尿病(罹病期間が浅い)の若年者に対して、大幅な体重減少と血糖値の改善をもたらすかどうかを調査した。

方法:

このオープンラベルランダム化並行群間比較試験(DIADEM-I)は、カタール(中東・西アジア)のプライマリケア医で2型糖尿病の治療を受けている患者[年齢:18-50歳、罹病期間:3年以下、BMI≧27.0 kg/m2 、中東および北アフリカ地域出身]を「集中的ライフスタイル介入群」と「標準治療群」に無作為に割り付けし、体重の減少と血糖値の改善を比較した。

「集中的ライフスタイル介入群」は、フォーミュラ食(参考:エネルギー源である糖質・脂質を極力少なくする一方、必要十分量のたんぱく質・ビタミン・ミネラルを含む規定食)の使用と身体活動のサポートを受けた。

「標準治療群」は、臨床ガイドラインに基づいた標準の糖尿病治療を受けた。

主要評価項目は「割り付けから12ヶ月後の体重減少」とし、副次評価項目は「糖尿病の寛解(HbA1c<6.5%、糖尿病治療薬が3ヶ月無投薬)、血糖の正常化(HbA1c<5.7%、糖尿病治療薬が3ヶ月無投薬)」とした。

評価項目の分析は、ITT(intention to treat)解析で行った。

本研究は、ISRCTNレジストリ(ISRCTN20754766)とClinicalTrials.gov(NCT03225339)に登録された。

結果:

2017年7月16日~2018年9月30日の間に、158例の被験者(各グループ79例)を登録し、無作為に割り付けた。

最終的に147例の被験者(介入群70例、対照群77例)がITT解析集団に含まれた。

ベースラインから12ヶ月における体重の平均変化は、各群でそれぞれ、

介入群:100.6±19.5kg から -11.98±9.46 kg の減少

対照群:101.7±19.3kg から -3.98±5.29 kgの減少

平均差:-6.08 kg(95%CI -8.37~ -3.79)

となり、介入群で有意な体重の減少が示された(p<0.0001)。

さらに、ベースラインから12ヶ月の間に「体重の15%を超える体重減少の達成率」は、介入群で21%、対照群で1%となり、介入群の達成率の方が有意に高かった(p<0.0001)。

ベースラインから12ヶ月における脂肪量の平均変化は、各群でそれぞれ、

介入群:37.9±12.3kg から -9.97±9.06 kg の減少

対照群:37.1±13.9kg から -2.89±6.41 kg の減少

平均差:-5.43 kg(95%CI -7.81~ -3.06)

となり、介入群で有意な脂肪量の減少が示された(p<0.0001)。

Lancet Diabetes Endocrinol. 2020 Jun; 8(6): 477-489.

ベースラインから12ヶ月におけるHbA1cの平均変化は、各群でそれぞれ、

介入群:6.95±1.40% から -0.89±1.05 % の減少

対照群:6.95±1.22% から -0.35±1.27 % の減少

平均差:-0.62 %(95%CI -0.92~ -0.33)

となり、介入群で有意なHbA1cの減少が示された(p=0.020)。

ベースラインから12ヶ月の間に「糖尿病が寛解(HbA1c<6.5%、糖尿病治療薬が3ヶ月無投薬)した割合」は、介入群で61%、対照群で12%となり、オッズ比は、[OR 12.03(95%CI 5.17~28.03)]となった。

ベースラインから12ヶ月の間に「血糖が正常化(HbA1c<5.7%、糖尿病治療薬が3ヶ月無投薬)した割合」は、介入群で33%、対照群で4%となり、オッズ比は、[OR 12.07(95%CI 3.43~42.45)]となった。

Lancet Diabetes Endocrinol. 2020 Jun; 8(6): 477-489.

安全性においては、4例の対照(通常治療)群で5件の重篤な有害事象が報告された。

その内訳は、上室性頻拍、腹痛、肺炎、精巣上体炎による4回の入院と高血糖による1回の入院であった。

 

結論:

初期の2型糖尿病患者における12ヶ月間の集中的なライフスタイル介入は、大幅な体重減少のみならず、糖尿病の寛解率61%、血糖の正常化率33%にも繋がることが示された。

ゆえに、2型糖尿病を罹患した若年者に対する早期のライフスタイル介入は、心血管代謝を改善し、長期的な健康とウェルビーイングにメリットをもたらすことが示唆された。

 

【参考情報】

フォーミュラ食とは

https://sunnyhealth.co.jp/medical/formula.html

http://dm-rg.net/2/0201/01/04/ 

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