2型糖尿病合併心不全サブタイプ別におけるSGLT2阻害薬の心血管アウトカム



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34364665/ 

タイトル:Empagliflozin in Heart Failure With Predicted Preserved Versus Reduced Ejection Fraction: Data From the EMPA-REG OUTCOME Trial

<概要(意訳)>

背景:

EMPA-REG OUTCOME試験では、左室駆出率(LVEF)のデータは収集されなかった。

本研究では、LVEFの新しい予測モデルを適用して、心不全(HF)サブタイプにおけるSG(エンパグリフロジン)の心血管アウトカムに対する効果を検討した。

方法:

被験者のベースライン特性と治療内容に基づいて、LVEF予測モデル[年齢、性別、血圧、心拍数、BMI、e-GFR、合併症の有無(虚血性心疾患、心房細動、COPD、糖尿病、高血圧、貧血、癌、弁疾患)、心不全治療薬の有無(RA系阻害薬、βブロッカー、ジゴキシン、利尿薬)、治療デバイスの有無(埋め込み型除細動器、心臓再同期療法デバイス)]を適用し、2型糖尿病合併HF患者をHFmrEF/HFrEF(LVEF<50%)、またはHFpEF(LVEF≧50%)に分類した。

Cox回帰分析を使用して、「初発の心血管死(致死的脳卒中を除く)またはHF入院、心血管死、初発のHF入院、全ての原因による死亡」に対する効果を「HF既往なし(n=6314)とHFサブタイプ[HFmrEF/HFrEF(n=479)、HFpEF(n=208)]」別にSGLT2阻害薬群とプラセボ群で比較した。

心血管死には、「突然死、心不全の悪化、急性心筋梗塞、脳卒中、心原性ショック、その他の心血管死」が含まれる。

結果:

HF既往のある687例の内、479例(69.7%)がHFmrEF/HFrEF(LVEF<50%)、208例(30.3%)がHFpEFと予測された。

「初発の心血管死(致死的脳卒中を除く)またはHF入院」における治療効果は、それぞれ、

HFmrEF/HFrEF(LVEF<50%):HF 0.79(95%CI 0.51-1.23)

HFpEF(LVEF≧50%):HF 0.60(95%CI 0.31-1.17)

HF既往なし:HF 0.63(95%CI 0.50-0.78)

となり、一貫した治療効果が示された(交互p=0.63)。

 

「心血管死」における治療効果は、それぞれ、

HFmrEF/HFrEF(LVEF<50%):HF 0.82(95%CI 0.46-1.47)

HFpEF(LVEF≧50%):HF 0.48(95%CI 0.18-1.33)

HF既往なし:HF 0.60(95%CI 0.47-0.77)

となり、一貫した治療効果が示された(交互p=0.55)。

 

「初発のHF入院」における治療効果は、それぞれ、

HFmrEF/HFrEF(LVEF<50%):HF 0.81(95%CI 0.46-1.43)

HFpEF(LVEF≧50%):HF 0.65(95%CI 0.29-1.42)

HF既往なし:HF 0.59(95%CI 0.43-0.82)

となり、一貫した治療効果が示された(交互p=0.66)。

 

「全ての原因による死亡(全死亡)」における治療効果は、それぞれ、

HFmrEF/HFrEF(LVEF<50%):HF 0.86(95%CI 0.51-1.45)

HFpEF(LVEF≧50%):HF 0.70(95%CI 0.33-1.51)

HF既往なし:HF 0.66(95%CI 0.54-0.81)

となり、一貫した治療効果が示された(交互p=0.64)。

J Card Fail. 2021 Aug;27(8):888-895.

結論:

EMPA-REG OUTCOME試験では、心不全患者の3分の1が、HFpEF患者であることが予測された。

SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン)の心血管アウトカムに対する治療効果は、心不全既往のない2型糖尿病、心不全(HFmrEF、HFrEF、HFpEF)を合併した2型糖尿病において一貫していることが示された。

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