2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬の体組成・RAA系への影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30953516/ 

タイトル:Effect of SGLT2 inhibitors on body composition, fluid status and renin-angiotensin-aldosterone system in type 2 diabetes: a prospective study using bioimpedance spectroscopy

<概要(意訳)>

背景:

SGLT2阻害薬は、2型糖尿病患者の血糖を低下させるだけでなく、体重も低下させることが示されている。

しかしながら、体液組成に与える影響は未だ明らかになっていない。

方法:

本研究では、2型糖尿病の外来患者27例に生体インピーダンス分光法を使用して、SGLT2阻害薬[エンパグリフロジン(N=18)、ダパグリフロジン(N=9)]による治療開始後の1週間から6ヶ月までの体液組成を分析した。

体組成分析装置は、フレゼニウス メディカル ケア社のBCM®を使用した。

体液状態の変化は、SGLT2阻害薬(N=27)、サイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジドで治療されている高血圧患者(N=14)、健常者(N=16)の3群間で比較した。

結果:

6ヶ月時点で、低下した中央値のHbA1cは0.8%(四分位範囲:0.4~2.3)、体重は2.6Kg(1.5~9.3)、BMIは0.9 kg/m(0.4~3.3)であった。

生体インピーダンス分光法により、SGLT2阻害薬による6ヶ月後の治療は、体重【参考:脂肪量+徐脂肪量[体細胞量(細胞内液量+蛋白質)+細胞外量(細胞外液量+骨量)]】を低下させたが、徐脂肪量の変化は(減少は治療開始初期のみ)安定しており、脂肪量の有意な減少が影響していたことが示された。

治療開始3日間で一時的に低下した徐脂肪量の中央値は、過剰水分(OH:細胞外液の一部で、基準値は-1~1)と細胞外液量(ECW)で、それぞれ-0.5 L/1.73 m2(-0.1~-0.9)と-0.4 L/1.73 m(-0.1~-0.8)となったが、3ヶ月と6ヶ月後にはベースラインの値に戻った。

Cardiovasc Diabetol. 2019 Apr5; 18(1): 46.

血漿レニン活性は、1ヶ月で2.1倍(0.5~3.6)増加したが、3ヶ月と6ヶ月後にはベースラインの値に戻った。

Cardiovasc Diabetol. 2019 Apr5; 18(1): 46.

SGLT2阻害薬で6ヶ月間治療された患者の体液状態(過剰水分、細胞外液量)は、サイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジドで治療されている高血圧患者、健常者と差がなかった。

Cardiovasc Diabetol. 2019 Apr5; 18(1): 46.

結論:

SGLT2阻害薬の治療による体重減少は、脂肪量の減少が影響していた。

徐脂肪量に含まれる細胞外液量の減少は一時的であり、その超短期の間だけ、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の上昇を伴った。

ゆえに、SGLT2阻害薬の使用は、細胞外液量を減少し続けるわけではないことが示された。

 

【参考情報】

生体インピーダンス分析・人体の組成

https://www.analog.com/jp/technical-articles/bioelectrical-impedance-analysis-in-monitoring-of-the-clinical-status-and-diagnosis-of-diseases.html#

BCM® 体組成分析装置

https://www.fresenius.co.jp/pdf/BCM_body.pdf

フリードマン検定 (Friedman Test)

http://jspt.japanpt.or.jp/ebpt_glossary/friedmans-test.html

ウィルコクソン検定(Wilcoxon Test)

http://jspt.japanpt.or.jp/ebpt_glossary/wilcoxon-signed-rank-test.html

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