SGLT2阻害薬とGLP1受容体作動薬のアジア人と白人における心血管保護効果の比較



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33707305/ 

タイトル:Meta-analyses of Results From Randomized Outcome Trials Comparing Cardiovascular Effects of SGLT2is and GLP-1RAs in Asian Versus White Patients With and Without Type 2 Diabetes

<概要(意訳)>

背景:

新しいクラスの血糖降下薬における心血管アウトカム試験(CVOT)の結果では、白人と比較してアジア人の方が大きなベネフィットを得られることが示唆されている。

本研究では、人種(アジア人 vs 白人)によって層別化したSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の心血管保護効果に対するハザード比(HR)を推定した。

方法:

2015年1月1日から2020年12月8日の間、PubMedを使用して系統的レビューを実施した。

結果:

2型糖尿病を対象としたSGLT2阻害薬の4つの大規模臨床試験[EMPA-REG OUTCOME(エンパグリフロジン)、CANVAS Program(カナグリフロジン)、VERTIS CV(エルツグリフロジン)] における3P-MACE(心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中)のハザード比は、アジア人(3,298例)と白人(20,258例)で、それぞれ、HR 0.81(95%CI 0.57-1.04)とHR 0.90(95%CI 0.80-1.00)となった。

全体のハザード比は、HR 0.88(95%CI 0.79-0.98)、異質性(I)は29.15%、交互p値は0.46であった。

ゆえに、「3P-MACE」は、アジア人と白人で一貫した結果が示された。

Diabetes Care. 2021 Mar 11; dc203007.

HFrEF患者(2型糖尿病患者の有無含む)を対象としたSGLT2阻害薬の2つの大規模臨床試験[Dapa-HF(ダパグリフロジン)、EMPEROR-Reduced(エンパグリフロジン)]における「心血管死/心不全の悪化」のハザード比は、アジア人(1,788例)と白人(5,962例)で、それぞれ、HR 0.60(95%CI 0.47-0.74)とHR 0.82(95%CI 0.73-0.92)となった。

全体のハザード比はHR 0.73(95%CI 0.60-0.86)、異質性(I)は63.56%、交互p値は0.01であった。

ゆえに、「心血管死/心不全の悪化」は、アジア人の方がより強い効果が示された。

Diabetes Care. 2021 Mar 11; dc203007.

2型糖尿病患者を対象としたGLP-1受容体作動薬の6つの大規模臨床試験[LEADER(リラグルチド)、SUSTAIN-6(セマグルチド)、HARMONY OUTCOMES(アルビグルチド)、REWIND(デュラグルチド)、PIONEER6(経口セマグルチド)]における3P-MACE(心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中)のハザード比は、アジア人(4,195例)と白人(37,530例)で、それぞれ、HR 0.68(95%CI 0.53-0.84)とHR 0.87(95%CI 0.81-0.94)となった。

全体のハザード比はHR 0.84(95%CI 0.77-0.90)、異質性(I)は26.68%、交互p値は0.03であった。

ゆえに、「3P-MACE」は、アジア人の方がより強い効果が示された。

Diabetes Care. 2021 Mar 11; dc203007.

結論:

白人と比較して、2型糖尿病患者の有無に関わらず、SGLT2阻害薬で治療されたアジア人のHFrEF(LVEF≦40%)患者は「心血管死/心不全の悪化」に対するベネフィットをより享受できる可能性が示唆された。

また、白人と比較して、GLP-1受容体作動薬で治療されたアジア人の2型糖尿病患者は「3P-MACE」に対するベネフィットをより享受できる可能性が示唆された。

 

【参考情報】

異質性の統計学的評価

システマティック・レビューとメタ解析について④ 〜異質性(Heterogeneity)の統計学的評価〜|ドクターキッド(Dr.KID) (dr-kid.net)

Sponsored Link




この記事を書いた人