日本の実臨床におけるeGFRと蛋白尿による慢性腎臓病の集団特性と診断率



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38431648/ 

タイトル:Population characteristics and diagnosis rate of chronic kidney disease by eGFR and proteinuria in Japanese clinical practice: an observational database study

<概要(意訳)>

序論:

慢性腎臓病(CKD)は、患者さんの寿命と生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼす重要な疾患です。

世界では約7億人(人口の9.1%)が、日本では約1,300万人(成人の13%)がCKDに罹患しており、その数は増加の一途をたどっています。

CKDが進行すると、心臓病の発症、入院の増加、死亡リスクの上昇など、さまざまな健康上の問題が引き起こされます。

さらに、一部の患者さんは末期腎不全(ESRD)へと進行し、透析や腎移植(腎代替療法)が必要となります。

これにより、患者さんのQOLは著しく低下し、医療費も大幅に増加します。

特に日本では、2010年の統計で透析患者さんの5年生存率がわずか40%と驚くほど低く、2018年の透析医療費は1.62兆円にも達しています。

 

重要なのは、たとえ早期のCKD(腎機能[eGFR]が60 mL/min/1.73 m²で、尿中アルブミンがほとんど検出されない[UACR<30 mg/g]段階)であっても、腎臓や心臓の合併症、末期腎不全への進行、死亡のリスクが著しく高いことです。

また、腎臓専門医に早めに相談した患者さんの方が、より良い治療成績が得られることも分かっています。

そのため、日本腎臓学会(JSN)のガイドラインも、国際的に広く認められているKDIGOガイドラインも、早期発見と早期治療の重要性を強調しています。

これまでの研究で、年齢や既往歴、検査値など、さまざまな要因を組み合わせたCKDのリスク予測モデルが報告されてきました。

しかし、現在最も広く使われているのは、腎機能(eGFR)と尿中アルブミン量という2つの指標を組み合わせた「KDIGOヒートマップ」と呼ばれる分類方法です。

これは、治療方針を決める際の重要な指標となっています。

 

ただし、日本では、KDIGOヒートマップに基づいたCKD患者さんの実態(どのくらいの患者さんがいて、どんな特徴があり、どのような治療を受けているのか、その治療成績はどうか)については、あまり分かっていませんでした。

その主な理由は、腎機能(eGFR)と尿タンパクの定量データの両方を持つデータベースを見つけることが難しかったためです。

 

今回の研究では、入院・外来患者さんの電子カルテ情報を含むリアルワールドデータベース(RWD-DB)を使用しました。

このデータベースには、検査結果、診断名、処方箋情報が含まれており、日本の人口の約20%という限られた範囲ではありますが、eGFRと尿タンパク検査(定量的および半定量的)の結果に基づいて、KDIGOヒートマップによる患者さんの分類が可能でした。

 

本研究の目的は、CKD患者さんの割合や特徴を明らかにし、KDIGOヒートマップの各カテゴリーにおけるCKDの診断率を評価することです。

これにより、現在のCKDの診断不足の実態を把握し、診断、管理、治療成績を改善するための第一歩として、まだ満たされていないニーズを明らかにすることができると考えています。

 

方法:

<研究デザインとデータベース>

本研究は、日本の健康・診療・教育情報評価研究所(HCEI;京都)とReal World Data社(京都)が管理する匿名化された医療記録データベース(RWD-DB)を後ろ向きに分析しました。

このデータベースは、2000年以降、全国約200の医療機関から収集された入院・外来の電子カルテ情報で構成されており、2021年時点で約2,300万人の患者さんの基本情報、診断名、処方箋、医療処置、検査結果などの情報を含んでいます。

 

<対象患者の選択基準>

– 360日以内に90日以上の間隔で2回、eGFRが90 mL/min/1.73 m²未満の測定値がある患者

– 2回目のeGFR測定日を基準日(インデックス日)と定義

– eGFR<90という基準値は、CKDと糖尿病性腎臓病(DKD)の治療薬の有効性と安全性を評価した臨床試験に基づいて設定

– 対象期間:2004年1月1日から2021年9月30日

– 18歳以上で、基準日より前360日間の医療記録がある患者

 

<断面調査>

2005年、2010年、2015年、2020年の各年について実施(各期間は1月1日から12月31日)。

各期間中にeGFRの測定値が少なくとも1回ある患者を抽出し、同日に尿中アルブミン/タンパク検査データがある場合はKDIGOヒートマップに従って分類し、ない場合はeGFRステージのみで分類しました。

 

<CKDの定義と測定>

CKDの診断:

– 基準日の前360日から後90日の間に、少なくとも1つのICD-10コードでCKDと診断

G2でタンパク尿検査結果がない患者さんやG2A1の患者さんは、診断率の分析から除外(タンパク尿データなし群の分析は例外)

 

その他の定義:

– 合併症:基準日またはそれ以前のICD-10コードで定義

– 投薬:観察期間中の処方の有無で定義

– 血清カリウム値が1.0未満または8.0 mmol/L超の患者さんは、検査エラーの可能性があるため除外

– 高カリウム血症は血清カリウム値>5.0 mmol/Lと定義

 

<KDIGOヒートマップによる分類>

  1. eGFRによる5段階分類(90日以上維持された値に基づく):

– G3a(<60)

– G3b(<45)

– G4(<30)

– G5(<15 mL/min/1.73 m²)

– その他はG2

 

  1. 定量的タンパク尿データ(QPD)による分類:

– 尿中アルブミン(mg/日)

– UACR(mg/gクレアチニン)

– 尿タンパク(g/日)

– UPCR(g/gクレアチニン)

を用いてA1、A2、A3に分類

 

  1. 定性または半定量的タンパク尿データ(APD)による分類:

– [試験紙法:(-)、(±)、(+)以上]の結果に基づき分類

– 同日に複数の結果がある場合は、最も高い値を使用

これらの方法により、患者を包括的かつ体系的に分類し、分析を行いました。

 

結果:

<患者分布、年齢、性別について>

本研究では、JSNの推算式で算出したeGFR(以下、単にeGFR)が90 mL/min/1.73 m²未満の患者さん788,059名を対象としました。

このうち、「定性または定量的な方法でタンパク尿を測定したデータがある患者」は452,996名(全体の57.5%)で、これをAPD群と定義しました

さらに、定量的なタンパク尿データがある患者(QPD群)は54,073名(全体の6.9%)でした(図1)。

Sci Rep. 2024 Mar 2;14(1):5172.

eGFRステージ別の分布を見ると、全体集団とAPD群では似た傾向でしたが、QPD群ではG4やG5といった進行したCKDステージの患者さんの割合が高くなっていました(表1)。

 

KDIGOリスク分類での分布を見ると、QPD(定量的タンパク尿測定)群の方がAPD(定性または半定量的タンパク尿測定)群よりも高リスク群に分類される割合が高く、以下のような分布でした:

– 低リスク(表1の緑色):APD群62.6%/QPD群50.4%

– 中等度リスク(黄色):APD群20.9%/QPD群24.6%

– 高リスク(オレンジ):APD群11.0%/QPD群12.6%

– 超高リスク(赤色):APD群5.5%/QPD群12.4%

 

全てのCKDステージで男性が半数以上を占め、タンパク尿のカテゴリーがA1からA3に進むにつれて男性の割合が増加する傾向がありました(APD群:51.2%/57.9%/58.8%、QPD群:56.5%/55.9%/60.2%)。

平均年齢はG2からG4にかけて上昇し、G2とG3aの間で約10歳、G3aとG4の間で2-3歳の差がありました。

一方で、G5の平均年齢はG4より低くなっていました。

Sci Rep. 2024 Mar 2;14(1):5172.

<CKDの診断率について>

全研究対象者のうち、eGFRやタンパク尿の基準からCKDと判定された235,059名の中で、実際にCKDの診断コードがついていたのは16.9%(39,788名)でした。

診断率はタンパク尿検査の有無や方法によって大きく異なり

APD群:16.5%

QPD群:43.5%

– タンパク尿データなし群:5.9%

でした。

 

特にG2ステージ(全体で650,622名、うち381,415名[58.6%]が尿タンパク検査結果あり)では:

– タンパク尿データなし群:2.9%

– APD群:10.4%

– QPD群:31.3%

という診断率でした。

中等度リスク群(表S3の黄色部分)に限ると、APD群8.5%、QPD群25.2%でした。

 

全般的に、タンパク尿検査データがある患者さんの方が診断率は高く、特にQPD群で顕著でした。

同じeGFRカテゴリー内では、A3(重度のタンパク尿)で最も診断率が高く、この傾向は早期ステージ(G2とG3a)で特に顕著でした(図2)。

G4やG5の進行したステージではAPD群もQPD群も大多数がCKDと診断されていましたが、タンパク尿データのないG4の患者さんは半数しか診断されていませんでした。

 

また、若い患者(特に18-49歳)の方が高齢者よりも診断率が高い傾向にありました。

合併症(糖尿病、高血圧、心不全)のある患者の方が、ない患者よりも診断率が高く、唯一の例外はQPD群における糖尿病の有無による差がなかった点でした。

Sci Rep. 2024 Mar 2;14(1):5172.

<合併症について>

最も多く見られた合併症は、高血圧、糖尿病、脳卒中、心不全、狭心症でした(図3、補足表S4)。

糖尿病を除き、APD群とQPD群の間で主要な合併症の発生頻度に大きな違いは見られませんでした。

 

高血圧の有病率は、CKDステージがG3からG5に進行するにつれて、またタンパク尿がA1からA3に増加するにつれて上昇する傾向がありました

 

糖尿病については興味深い特徴が見られました:

– APD群では高血圧よりも有病率が低い

– QPD群では高血圧よりも有病率が高く、全てのCKDステージのA3で60%以上

– APD群ではタンパク尿の程度が進むほど糖尿病の有病率が上昇

– しかしQPD群のG2ステージではそのような傾向は見られない

 

心血管疾患については:

– 脳卒中、心筋梗塞、狭心症、不整脈の有病率は、CKDステージがG3aからG4に進むにつれて上昇

– しかし、これらの疾患の有病率とタンパク尿レベルとの関連性は比較的弱い

– 一方、心不全の有病率はG5ステージまでCKDの進行に伴って増加

 

また、血清カリウム値で定義される高カリウム血症は、CKDとタンパク尿が進行するにつれて増加し、高尿酸血症も同様の傾向を示しました。

Sci Rep. 2024 Mar 2;14(1):5172.

<投薬について>

全研究対象者で最も多く処方されていた薬剤は:

  1. プロトンポンプ阻害薬(PPI):16.4%
  2. レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬(RAASi):15.7%
  3. カルシウム拮抗薬(CCB):15.5%
  4. 脂質異常症治療薬:12.1%

 

この傾向はAPD群とQPD群の両方で見られましたが、QPD群の方が処方率が高くなっていました。

 

特徴的な処方パターンとして:

– アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が全ステージでRAASiの中で最も多く処方

ARBの処方率はeGFRとタンパク尿の進行に伴って上昇

CCBの処方率もCKDステージとタンパク尿レベルの進行に伴って上昇

– 利尿薬の使用はG2からG5にかけて増加したが、タンパク尿の程度は処方率にあまり影響しない

 

経口血糖降下薬については:

  1. DPP-4阻害薬:3.6%
  2. スルホニル尿素薬:2.7%
  3. ビグアナイド薬:2.5%

の順で多く、この傾向はAPD群とQPD群でも同様でした。

Sci Rep. 2024 Mar 2;14(1):5172.

<検査結果について>

観察期間中の検査実施率を補足表S6に示しています。

ほぼ全ての検査において、QPD群で最も頻繁に実施されていました。

尿タンパク検査を除き、eGFRステージ別の検査実施率のパターンは、全体集団、APD群、QPD群で類似していました。

 

尿タンパク検査については:

半定量検査(試験紙法)が最も一般的(全体の63.2%)

– APD群で99.3%、QPD群で94.4%が実施

– 尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の測定は:

  * QPD群:47.6%(25,716名)

  * APD群:6.5%(29,451名)

– QPD群では、CKDステージが進行するにつれてUACRは低下傾向

– 一方、尿タンパク/クレアチニン比(UPCR)はCKDステージの進行とともに上昇

 

その他の特徴的な検査傾向:

  1. 貧血評価のための検査(鉄、TIBC、フェリチン、EPO):

– CKDとタンパク尿が進行するほど頻繁に実施

 

  1. 免疫グロブリン測定:

– G5を除く全CKDステージで、タンパク尿レベルの進行に伴い増加

– G5ではA2とA3で同程度の実施率

 

  1. CRPとANCA検査:

– 免疫グロブリン測定と同様の傾向

 

<CKD患者の経時的な特徴>

データベースに登録された年間患者数は:

– 2005年:43,508名

– 2020年:279,306名

と大幅に増加

 

<CKD診断率の経時的傾向>

– KDIGOヒートマップ上の患者分布は年ごとに類似

– 診断率は2005年から2020年にかけて若干上昇(8.9%→11.1%)

 

合併症の推移:

2010年から2020年にかけて平均年齢と主要合併症の有病率に大きな変化なし

– 2010年:糖尿病35.0%、高血圧43.1%

– 2020年:糖尿病39.3%、高血圧43.7%

 

これらの結果は、CKDの診断と管理に関する実臨床の現状を示すとともに、検査実施パターンの特徴や経時的な変化を明らかにしています。

 

考察:

本研究は、日本において初めてKDIGOヒートマップに基づいて、eGFRと定量的/半定量的尿タンパク検査の結果を用いて、CKD患者の詳細な分布と臨床的特徴を明らかにしました。

 

重要な発見として:

  1. 検査実施の問題点:

– eGFR 90 mL/min/1.73 m²未満の90%以上の患者で定量的検査が未実施

– 40%以上では定量的検査も半定量的検査も未実施

– これは、CKDが疑われる患者の初期評価が不十分であることを示唆

– また、異常所見が見られても定量的検査による詳細な評価がなされていないことを示唆

 

  1. 診断率の格差:

– タンパク尿検査なし群:5.9%(非常に低い)

– QPD群:43.5%(著しく高い)

この差は、定量的な尿タンパク評価がCKDの適切な診断に極めて重要であることを示している

日本の保険制度ではCKDの診断が管理上必須とされているにもかかわらず、定量的検査結果がある患者でも半数以上が未診断

 

  1. 合併症の特徴:

全体およびAPD(定性または半定量的タンパク尿測定)群:高血圧 → 糖尿病 → 心血管疾患の順で多い(過去の国内外の報告と一致)

QPD(定量的タンパク尿測定)群:糖尿病が高血圧より多い

  * 理由:日本では糖尿病患者のみUACR測定が保険適用

  * 糖尿病患者は早期から腎機能の綿密なモニタリングを受けている

 

  1. 心血管疾患との関連:

– G2からG3b/G4にかけて心血管疾患の有病率が上昇

特に心不全はCKDの進行と最も強い関連を示し、eGFRの低下に伴い直線的に増加

– これは心腎連関(腎臓と心臓が生理的・病理的に相互に影響を及ぼす現象)と一致

 

  1. リスク因子の集積:

– A3の患者の60%が男性

G3bとG4の年齢中央値が81歳

– 進行したeGFRステージとタンパク尿の患者で高血圧と糖尿病の有病率が高い

– これらの結果は、CKDの進行と心血管疾患の発症との関連、および両者の臓器機能障害に共通する問題を裏付けている

 

これらの知見は、心血管疾患の発症と腎機能低下の両方を予防するための早期介入の重要性を強調しています。

 

CKDガイドラインでは進行予防のために早期診断と治療を推奨していますが、実際の診断率には大きな課題があります

  1. 診断率の現状:

– 先行研究:G3a以上で20-25%程度

– 日本のデータベース研究:G3で10%未満

– 本研究:全体で16.9%

– タンパク尿検査の有無による違い:

  * APD群:16.5%

  * QPD群:43.5%

  * タンパク尿データなし群:5.9%

 

  1. 定量的検査の重要性:

– 試験紙検査は診療所、大病院、健康診断で容易に実施可能

– しかし定量検査は普及していない

– UACRの保険適用は糖尿病患者のみに限定

– 糖尿病の有無による診断率の違い:

  * タンパク尿データなし群:糖尿病あり26.9% vs なし13.5%

  * QPD群:両者とも43.5%

この結果は、UACR測定の保険適用制限の再検討が必要かもしれないことを示唆

 

  1. 早期診断の課題:

– G2とG3aの診断率はわずか10%

– G2患者の42%で尿タンパク検査未実施

– G2でのAPD群とQPD群の診断率の差(10.4% vs 31.3%)は、定量検査導入の重要性を示唆

G2-G3bで心不全(12.6%→36.6%)や脳卒中(15.8%→31.4%)が増加することを考えると、早期診断の機会損失は深刻

 

  1. 高齢者のCKD管理:

– 加齢に伴う腎臓の萎縮と糸球体数の減少は自然な現象

– 非CKD患者での年間eGFR低下は約2 mL/min/1.73 m²

– 18-49歳の診断率20.2%も不十分だが、高齢者ではさらに低い

– 高齢者のCKD診断と治療に対する認識向上が必要

 

  1. 検査実施パターン:

– 免疫グロブリン、CRP、ANCA検査は重症例で多い

– 尿細管機能、貧血、電解質の評価も同様

– QPD群ではA1でも全eGFRステージで検査頻度が高い

– これは重症CKDや定量的タンパク尿検査実施例で、より包括的な評価が行われていることを示唆

 

これらの結果は、CKDの早期発見と管理における現状の課題と改善の必要性を明確に示しています。

 

薬物療法に関する重要な知見:

  1. 降圧薬の処方パターン:

– RAASiとCCBが最も多く処方

– RAASiの中ではARBが最多(ロサルタンが2型糖尿病性腎症に適応)

– しかしRAASiの処方率は低い

  * 全体のG3a:24.0%

  * 高血圧患者:49.2%

  * 欧州(eGFR<60のCKD患者):59.9%

– CCBの処方率(G3aで21.9%)とほぼ同等

 

  1. RAASi処方率が低い理由

– 高カリウム血症のリスク(G4/G5で22.4%/29.6%)

– JSN2018ガイドラインの推奨:

  * CKDの高血圧管理にACEi、ARB、CCB、利尿薬を推奨

  * G4/G5で高カリウム血症や腎機能低下時はCCBへの切り替えを示唆

  * 75歳以上のCKD患者では第一選択としてCCBを推奨

– 日本の高齢者は体格が小さく、降圧薬への耐性が低い

– 利尿薬はeGFRの低下に伴い使用増加(体液管理が主目的)

 

  1. 新しい治療選択肢:

SGLT2阻害薬:

– ダパグリフロジンが2021年に2型糖尿病の有無によらずCKDに承認

– 腎臓・心血管アウトカムの改善を証明

– KDIGOヒートマップ全体で腎臓関連の複合アウトカムを改善

– 幅広い原因のCKDで腎保護効果を証明

– 高カリウム血症や痛風のリスクを軽減

– 高齢者や高リスク患者でも安全性を確認

– 心血管・腎臓への効果に関して費用対効果も証明

– あらゆるステージのCKD管理の中心的治療になる可能性

 

MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬):

– 2型糖尿病を伴うCKD患者での心血管・腎臓への有益性を大規模RCTで証明

– 最近、2型糖尿病を伴うCKDの治療薬として承認

 

これらの結果は、日常診療で遭遇する心腎症候群の管理における課題と機会を示しています。

新しい治療選択肢が登場する中、早期評価と適切な診断がますます重要となっており、これにより適時な医療介入が可能となり、患者と社会のアウトカム改善につながることが期待されます。

 

<研究の限界>

本研究にはデータベースの特性に起因するいくつかの制限があります:

  1. データベースの制約:

主に病院のデータで構成され、診療所は10施設のみ

– 日本の臨床実践全体を完全には反映していない可能性

 

  1. データの質に関する制約:

– DPC請求データと電子カルテに基づく情報

– データの妥当性は元の記録の正確さに依存

 

  1. データの連携に関する制約:

– 異なる医療機関のデータは連携されていない

– 同一患者が複数の施設を受診している場合、重複カウントの可能性

 

  1. 臨床的な制約:

– 検出されたタンパク尿が一過性のものか病的なものか区別できない

 

  1. 研究デザインの制約:

– 観察研究のため、因果関係の評価が不可能

 

結論:

本研究の実臨床データから、以下の重要な点が明らかになりました。

  1. CKDのリスクがある、またはCKDの定義を満たす患者の多くが:

– 尿タンパク検査を受けていない

– CKDと診断されていない

– 特に早期段階での見落としが顕著

 

  1. 今後の展望:

– CKDを標的とする新しい治療選択肢が登場している現在、早期段階でのCKDの評価と診断が極めて重要

– これにより:

  * 患者のQOL改善

  * 社会的・経済的負担の軽減

が期待される

このような包括的な取り組みが、CKD管理の改善に不可欠であることが示唆されます。

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