PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33313987/
タイトル:Impact of age at type 2 diabetes mellitus diagnosis on mortality and vascular complications: systematic review and meta-analyses
<概要(意訳)>
背景:
2型糖尿病の診断時の年齢とその後の合併症との関連を調査した研究は、ほとんどない。
本研究では、2型糖尿病の診断時の年齢と「全死亡、大血管合併症、細小血管合併症」のリスクを調査した。
方法:
2018年7月迄に、MEDLINEと全てのEBMデータベースから事前に指定した基準に従って、成人の2型糖尿病患者における大血管および細小血管合併症に対する糖尿病診断時の年齢の影響を調査した観察研究データを2名のレビュアーが抽出した。
研究プロトコルは、PROSPEROウェブサイトで登録した。
結果:
調査対象となったデータは、30カ国、1,325,493例から成る26件の観察研究であった。
プールされたオッズ比(OR)を得るために、逆分散法(inverse variance weighting)によるランダム(変量)効果モデルを用いたメタ解析を行った。
1,325,493例を含む5件の研究データにおいて、2型糖尿病診断時の年齢が1年増加するごとに「全死亡リスク」は4%減少することが示された[OR 0.96(95%CI 0.94-0.99)、p<0.001]。
566,011例を含む8件の研究データにおいて、2型糖尿病診断時の年齢が1年増加するごとに「大血管合併症リスク」は3%減少することが示された[OR 0.97(95%CI 0.96-0.98)、p<0.001]。
149,110例を含む8件の研究データにおいて、2型糖尿病診断時の年齢が1年増加するごとに「細小血管合併症リスク」は5%減少することが示された[OR 0.95(95%CI 0.94-0.96)、p<0.001]。
ゆえに、2型糖尿病診断時の年齢は、「全死亡、大血管合併症、微小血管合併症」リスクと逆相関することが示された(全てのp<0.001)。
Diabetologia. 2021 Feb; 64(2): 275-287.
結論:
2型糖尿病患者の「全死亡、大血管合併症、微小血管合併症」リスクは、2型糖尿病診断時の年齢が高いよりむしろ低い方が高くなることが示された。
罹患率と死亡率を減少させる為には、2型糖尿病の発症を遅らせ、既に診断された糖尿病患者の血糖管理と心血管リスク因子を改善することが必要不可欠だろう。
【参考情報】
メタアナリシスの手法を解説
https://riklog.com/research/meta-analysis/
オッズ比とハザード比
オッズ比とハザード比:似て全く非なるもの-その1 | 翻訳者(日⇔英)を目指している方への情報サイト。 (translator-patner.com)