PubMed URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31327705
タイトル:HAS-BLED score as a predictor of bleeding complications from catheter ablation of atrial fibrillation: A subanalysis of the Japanese Anti-Coagulation Regimen Exploration in AF Catheter Ablation Registries.
<概要(意訳)>
背景:
ATRIA、ORBIT、およびmHAS-BLEDスコア(HAS-BLEDスコア項目のLabile INR:不安定INRを除く)は、心房細動で経口抗凝固薬治療を受けている患者の出血リスクを予測するために使用されている。我々はJACRE(AFカテーテルアブレーションレジストリにおける日本の抗凝固療法の調査)より、これらのスコアのAFカテーテルアブレーション(CA)施工患者の出血リスクの予測に対する有用性を調査した。
対象:
JACREレジストリに登録された連続13,22例のCA施行患者。アブレーション周術期に、リバーロキサバン(n = 1118)またはワルファリン(n = 204)が投与され、術後30日間の合併症を観察した。
結果:
周術期の出血合併症は42人の患者(3.2%)で発生し、mHAS-BLED [HR= 1.46、95%CI(1.06-2.01)]、ATRIA [1.16(1.00-1.35)]、およびORBIT [ 1.29(1.06-1.57)]スコアと有意に関連していた。ただし、mHAS-BLEDスコアのみが、感度と特異度を最大化する閾値によって層別化された低スコア群よりも高スコア群の方が有意に高い出血合併率を予測した(閾値= 3、Log-rank test p <0.001)。全ての出血合併症の発生率は、mHAS-BLEDスコアが3以上の患者のリバロキサバン群で有意に低かった(リバロキサバンvs.ワルファリン、5.56%vs. 25%、p = 0.028)。
結論:
一般的な3つの出血リスクスコアは、AFカテーテルアブレーション(CA)施工患者の周術期出血リスクと関連しており、mHAS-BLEDスコア≥3は、高リスク患者と低リスク患者を最もよく判別した。
【補足情報】
・mHAS-BLEDスコア<3における全ての出血合併症の発症率:リバーロキサバン群2.77% (30/1082)、ワルファリン群2.72% (5/184)、p=0.964
・mHAS-BLEDスコア≧3における全ての出血合併症の発症率:リバーロキサバン群5.56% (2/36)、ワルファリン群25.00% (5/20)、p=0.028
・mHAS-BLEDスコアの項目(点数は各1点)
□血圧コントロール不良(収縮期血圧>160)
□腎機能低下(透析、腎移植、血清クレアチニン> 2.26 mg/dL)
/肝機能低下[肝硬変等の慢性肝疾患、正常値上限>2のビリルビン、正常上限値>3のアミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ(ALP)]
□脳卒中の既往(特に、ラクナ梗塞)
□出血既往、素因[貧血:Hb 13 g / dL(男性)、12 g / dL(女性)]
□高齢者(65歳≦)
□併用薬(抗血小板薬、NSAID)
□アルコール摂取(>8 units/week)