PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31852421/
タイトル:Regional Variation of Mortality in Heart Failure With Reduced and Preserved Ejection Fraction Across Asia: Outcomes in the ASIAN-HF Registry
<概要(意訳)>
背景:
アジアにおける心不全(HF)患者の予後を比較するデータは限られている。
我々は、ASIAN-HFレジストリーに登録されているHF患者の死亡率の地域差を、HFrEF(EF<40%)とHFpEF(EF≥50%)別に分析した。
対象と方法:
ASIAN-HFレジストリは、前向きの縦断観察研究である。
対象は、南アジア(インド)、東南アジア(タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、シンガポール)、北東アジア(韓国、日本、台湾、香港、中国)の3地域における46施設が参加している。
全体で6480人の症候性HF患者(>18歳、平均年齢:61.6±13.3歳、女性:27%、HFrEF:81%)が登録された。
主要評価項目は、1年間の全死亡率とした。 ベースラインの患者背景と予後には著しい地域差が観察された。
人口統計的変数、臨床的変数、薬剤もしくはデバイス使用によるリスク分析では、アジア地域の1年間の全死亡率の寄与は心不全で44.8%しかなく、HFrEFでは42.7%、HFpEFでは49%であった。
結果:
HFタイプ(EF<40%、もしくはEF≥50%)に関わらず、東南アジアは、北東アジアよりも若く、特に糖尿病と慢性腎臓病の併存症が多かった。
アジア全体における1年間の全死亡率は9.6%であり、HFrEF患者(10.6%)の全死亡率は、HFpEF患者(5.4%)よりも高かった。
1年間の全死亡率は、東南アジア(13.0%)の方が南アジア(7.5%)、および北東アジア(7.4%)と比較して有意に高かった(P <0.001)。
結論:
この最初の多国籍前向き研究において、アジアのHFrEFとHFpEF患者の予後は非常に悪く、特に、東南アジアの予後は深刻である。予後改善の為には、地域固有のリスク要因とガイドラインに基づく治療のギャップに対応していく必要があるだろう。