左室駆出率別に検討した心不全の転帰に対するSGLT2阻害薬の効果



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34878502/ 

タイトル:Effect of empagliflozin in patients with heart failure across the spectrum of left ventricular ejection fraction

<概要(意訳)>

背景:

臨床診療において、心不全入院リスクを低減する治療薬における左室駆出率別の効果は、明らかになっていない。

本研究では、心不全の転帰に対するSGLT2阻害薬(エンパグリフロジン)の効果に及ぼす影響を左室駆出率別に評価した。

方法:

EMPEROR-Reduced試験(対象:HFrEF患者)とEMPEROR-Preserved試験(対象:HFpEF患者)のプール解析[(9,718例の内、SGLT2阻害薬群 4,860例、プラセボ群 4,858例)、ベースライン時のEF:<25%(n = 999)、25-34%(n = 2,230)、35-44%(n=1,272)、45-54%(n=2,260)、55-64%(n=2,092)、≧65%(n=865)]を実施した。

評価項目には、(ⅰ)初発の心不全による入院または心血管死、(ⅱ)初発の心不全による入院、(ⅲ)心不全による総入院(初発および再発)、(ⅳ)心不全患者のQOL[52週時のカンザスシティ心筋症アンケート(KCCQ)のスコア]を含めた。

結果:

プラセボ群と比較したSGLT2阻害薬群の「初発の心不全による入院または心血管死」のハザード比[HR(95%CI)]は、それぞれ、

LVEF<25%:0.77(0.60-0.98)

LVEF≧25 to <35%:0.72(0.59-0.87)

LVEF≧35 to <45%:0.82(0.63-1.05)

LVEF≧45 to <55%:0.74(0.61-0.91)

LVEF≧55 to <65%:0.78(0.62-0.97)

LVEF≧65%:0.98(0.68-1.40)となった。

 

プラセボ群と比較したSGLT2阻害薬群の「初発の心不全による入院」のハザード比[HR(95%CI)]は、それぞれ、

LVEF<25%:0.73(0.55-0.96)

LVEF≧25 to <35%:0.63(0.50-0.78)

LVEF≧35 to <45%:0.72(0.52-0.98)

LVEF≧45 to <55%:0.66(0.50-0.86)

LVEF≧55 to <65%:0.70(0.53-0.92)

LVEF≧65%:1.05(0.70-1.58)となった。

 

プラセボ群と比較したSGLT2阻害薬群の「心不全による総入院(初発および再発)」のハザード比[HR(95%CI)]は、それぞれ、

LVEF<25%:0.74(0.50-1.07)

LVEF≧25 to <35%:0.67(0.51-0.87)

LVEF≧35 to <45%:0.79(0.55-1.12)

LVEF≧45 to <55%:0.56(0.42-0.76)

LVEF≧55 to <65%:0.81(0.59-1.10)

LVEF≧65%:1.03(0.67-1.60)となった。

Eur Heart J. 2021 Dec 8;ehab798.

また、LVEF<25%をreferentとした、プラセボ群におけるLVEF別の「初発の心不全による入院または心血管死」のハザード比は、それぞれ、

LVEF≧25 to <35%:0.75(0.61-0.91)

LVEF≧35 to <45%:0.54(0.42-0.68)

LVEF≧45 to <55%:0.42(0.34-0.52)

LVEF≧55 to <65%:0.34(0.27-0.42)

LVEF≧65%:0.29(0.21-0.39)となった。(交互p<0.001)

 

また、LVEF<25%をreferentとした、プラセボ群におけるLVEF別の「初発の心不全による入院」のハザード比は、それぞれ、

LVEF≧25 to <35%:0.77(0.61-0.97)

LVEF≧35 to <45%:0.53(0.40-0.71)

LVEF≧45 to <55%:0.40(0.31-0.52)

LVEF≧55 to <65%:0.36(0.28-0.47)

LVEF≧65%:0.31(0.22-0.45)となった。(交互p<0.001)

 

また、LVEF<25%をreferentとした、プラセボ群におけるLVEF別の「心不全による総入院(初発および再発)」のハザード比は、それぞれ、

LVEF≧25 to <35%:0.75(0.56-1.01)

LVEF≧35 to <45%:0.49(0.35-0.69)

LVEF≧45 to <55%:0.36(0.26-0.49)

LVEF≧55 to <65%:0.26(0.18-0.36)

LVEF≧65%:0.29(0.19-0.43)となった。(交互p<0.001)

 

ゆえに、左室駆出率の増加(25%未満~65%以上)に伴い、プラセボ群の評価イベント[(ⅰ)初発の心不全による入院または心血管死、(ⅱ)初発の心不全による入院、(ⅲ)心不全による総入院(初発および再発)、(ⅳ)心不全患者のQOL]リスクは低下し、SGLT2阻害薬とのリスク差は縮小する傾向(交互p=0.30)が示された。

この結果は、性別の影響を受けていなかった。

また、SGLT2阻害薬は、おもに「心不全による入院」リスクを低減することにより、「心血管死または心不全による入院」リスクを低減した。

Eur Heart J. 2021 Dec 8;ehab798.

結論:

心不全の転帰に対するSGLT2阻害薬(エンパグリフロジン10mg)の効果の大きさは、左室駆出率25%未満から65%未満の心不全患者では、類似していたが、駆出率65%以上では減弱する傾向が示された(交互p=0.30)。

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