前糖尿病と心不全の有害転帰との関連



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34227220/ 

タイトル:Association between prediabetes and adverse outcomes in heart failure

<概要(意訳)>

背景:

糖尿病のある心不全(HF)患者は、糖尿病のないHF患者よりも著しく予後が悪い。

しかしながら、前糖尿病(糖尿病予備軍)のHF患者の予後に対する影響は十分に評価されていない。

本研究では、前糖尿病のHF患者における有害転帰(全死亡、心血管死、心不全入院など)リスクとの関連を調査した。

方法:

2021年3月31日までの研究について、電子データベース(PubMed、Embase、Google Scholar)を使用して、「正常血糖と比較した前糖尿病のHF患者における有害転帰リスク[相対リスクRR(95%CI)]」が報告されたメタ分析を検索した。

変量効果モデルのメタ分析により、プールされたハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を計算した。

 

前糖尿病は、下記4つの基準に従って定義された。

世界保健機関(WHO)の基準(IFG-WHO):IFG(空腹時血糖値)110~125 mg/dL

米国糖尿病学会(ADA)の基準(IFG-ADA):IFG(空腹時血糖値)100~125 mg/dL

耐糖能異常(IGT)の基準:OGTT2時間値140~199 mg/dl

米国糖尿病学会(ADA)の基準(HbA1c-ADA):HbA1c 5.7~6.4%

国際専門家委員会(IEC)の基準(HbA1c-IEC):HbA1c 6.0~6.4%

Diabetes Obes Metab. 2021 Jul 6.

主要評価項目は、「正常血糖と比較した前糖尿病のHF患者における全死亡のハザード比」とした。

副次評価項目は、「心血管死、心不全入院、全死亡および/または心不全入院、心血管死および/または心不全入院、MACEs」のハザード比とした。

結果:

28,643例のHF患者を含む12件の研究(追跡期間の中央値2.3年)が、メタ分析の対象となった。

そのHF患者における前糖尿病の有病率は、9.6%~37.2%であった。

 

正常血糖と比較した前糖尿病のHF患者における「有害転帰」のハザード比[HR(95%CI)]は、それぞれ、

全死亡:1.29(1.06-1.58)

心血管死:1.59(1.09-2.32)

心不全入院:1.33(1.09-1.61)

全死亡および/または心不全入院:1.22(1.01-1.47)

心血管死および/または心不全入院:1.21(1.07-1.37)

MACEs:1.25(0.85-1.95)

となり、MACEsを除く有害転帰は、「前糖尿病のHF患者」と関連することが示された。

Diabetes Obes Metab. 2021 Jul 6.

結論:

前糖尿病(糖尿病予備軍)は、心不全患者の予後不良に関連していることが示された。

予後を改善する為に、前糖尿病の心不全患者の更なるリスク層別化と効果的な治療戦略が必要だろう。

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