心不全で入院した高齢患者における身体的リハビリテーションの有用性



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33999544/ 

タイトル:Physical Rehabilitation for Older Patients Hospitalized for Heart Failure

<概要(意訳)>

背景:

急性非代償性心不全で入院する高齢患者は、身体的虚弱、生活の質の低下、回復の遅延、頻繁な再入院のリスクが高くなる。

方法:

フレイル状態の高齢者用にカスタマイズした4つの身体機能領域(筋力、バランス、可動性、持久力)に介入する心臓リハビリテーションの有用性を標準的な心臓リハビリテーションと比較する多施設ランダム化比較試験を実施した。

心臓リハビリテーションの介入は、心不全による入院中または入院後早期に開始され、退院後は外来で週3回、12週間実施(36回)し、その後は自宅での実施に移行した。

主要評価項目は、心臓リハビリ開始3ヶ月後のShort Physical Performance Batteryスコア[SPPBスコア:合計スコアの範囲は0~12点、スコアが低いほど身体機能が低下(参考:バランス・歩行・椅子からの立ち上がりテストの3項目で構成され、各4点、合計12点、0-6点を低パフォーマンス、7-9点を標準パフォーマンス、10-12点を高パフォーマンスと分類)]とした。

副次評価項目は、「6ヶ月間の全ての原因による再入院率」とした。

結果:

410例が適格性スクリーニングを受け、最終的に349例が登録された。

175例は介入群(カスタム心リハ)に割り当てられ、174例は対照群(通常ケア)に割り当てられた。

被験者の87%と99%が、それぞれ、主要評価項目と副次評価項目の分析にデータ利用が可能であった。

平均(±SD)年齢は72.7±8.1歳で、患者の52%が女性で、49%が非白人(内、94%が黒人)であった。

心不全の原因は、35%が虚血性心疾患であり、53%が左室駆出率を維持(EF≧45%)していた。

併存疾患数の平均は5つ(高血圧、糖尿病、肥満、肺疾患、腎疾患)であり、何らかの原因での入院既往は約45%、心不全による入院既往は約25%であった。

糖尿病の併発率は、介入群の方が対照群よりも高かった(58% vs 47%)。

ベースラインでの身体機能は低く、97%は虚弱(フレイル)または前虚弱(プレフレイル)であった。

フォローアップ期間中に死亡した患者を除き、介入群の参加継続率は82%、外来での心臓リハビリ平均回数は24.3回、心臓リハビリ実施率は67%であった。

 

主要評価項目の「3ヶ月後における(ベースライン特性を調整した)SPPBスコア」の最小二乗平均(±SE)スコアは、介入群で8.3±0.2、対照群で6.9±0.2となり、介入群の有意な改善が示された[グループ間の平均スコア差:1.5(95%CI:0.9〜2.0); p<0.001]。

被験者は一般的に、各ドメインの介入過程で身体機能レベルが改善した。

主な目標は、歩行時間(運動持久力)の向上であったが、被験者の平均歩行時間は10.7±5.9分から22.0±11.1分に倍増した。

副次評価項目の「6ヶ月後における全ての原因による再入院率」は、介入群で1.18、対照群で1.28となり、両群間には有意な差は示されなかった[率比0.93(95%CI:0.66〜1.19)]。

また、「6ヶ月後における全ての原因による死亡率」は、介入群で0.13、対照群で0.10となり、両群間には有意な差は示されなかった[率比1.17(95%CI:0.61〜2.27)]。

N Engl J Med. 2021 Jul 15;385(3):203-216.

この結果は、事前に指定したサブグループ分析[年齢、人種、性別、左室駆出率、NYHA分類、心房細動の既往、虚血性心疾患の既往、糖尿病の既往、肥満度、COPDの既往、CKDの既往、うつ状態、認知機能状態、虚弱状態]においても、全体の結果と一貫していることが示された。

N Engl J Med. 2021 Jul 15;385(3):203-216.

有害事象において、胸痛、高血圧、めまい、高血糖、低血糖は対照群よりも介入群でより一般的であり、転倒、心不全は対照群でより一般的であった。

結論:

急性非代償性心不全で入院した高齢患者において、4つの身体機能領域(筋力、バランス、可動性、持久力)に介入する心臓リハビリテーションは、従来の理学療法や心臓リハビリテーションよりも身体機能が大幅に改善されることが示された。

 

【参考情報】

SPPB(Short Physical Performance Battery)について勉強してみる

https://lts-seminar.jp/2020/01/03/ohtsuka-225/ 

身体機能評価バッテリー(SPPB: short physical performance battery)とは

https://lts-seminar.jp/2020/01/03/ohtsuka-225/ 

カスタム心リハがフレイル高齢心不全に有効

https://medical-tribune.co.jp/news/2021/0524536443/ 

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