AF発症早期の患者に対するリズムコントロールの心血管転帰への影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32865375/ 

タイトル:Early Rhythm-Control Therapy in Patients with Atrial Fibrillation

<概要(意訳)>

背景:

心房細動(AF)の管理は向上しているが、AF患者の心血管合併症リスクは依然として高いままである。

AFを早期発症した患者に対するリズムコントロールは、心血管転帰を改善できるかは未だ明らかでない。

方法:

本研究のEAST-AFNET 4試験では、試験登録前1年以内にAFと診断された発症早期のAFと心血管疾患を有する患者を無作為に「早期リズムコントロール群」と「通常ケア群」に割り付けた。

「早期リズムコントロール群」では、無作為化後に抗不整脈薬の投与、またはAFアブレーションが施行された。

「通常ケア群」では、AF関連症状の管理に限定してリズムコントロール療法が行われた。

有効性の主要評価項目は、「心血管死、脳卒中、心不全の悪化または急性冠症候群(ACS)による入院の複合」とし、副次評価項目は、「年間当たりの病院宿泊日数」とした。

安全性の主要評価項目は、「死亡、脳卒中、リズムコントロール療法に関連した重篤な有害事象の複合」とし、副次評価項目は、「症状、左室機能」等を評価した。

N Engl J Med. 2020 Oct 1; 383(14): 1305-1316.

結果:

135施設で登録された発症早期[AF診断後36日(中央値)で登録]のAF患者2,789例(年齢70.3歳、CHA2DS2-VAScスコア3.3点)が無作為に割り付けられた。

本研究は、追跡期間5.1年(中央値)時に実施された3回目の中間解析で有効性が確認されたとして有効中止となった。

 

有効性の主要評価項目[心血管死、脳卒中、心不全の悪化または急性冠症候群(ACS)による入院の複合]におけるイベント発生は、

早期リズムコントロール群 249例(3.9/100人年) vs 通常ケア群 316例(5.0/100人年)

となり、ハザード比は、[HR 0.79 (95%CI 0.66-0.94)]、p=0.005となった。

また、副次評価項目の「年間当たりの病院宿泊日数(平均)」は、

早期リズムコントロール群 5.8±21.9日/年 vs 通常ケア群 5.1±15.5日/年

となり、2群間で有意差は示されなかった(p=0.23)。

N Engl J Med. 2020 Oct 1; 383(14): 1305-1316.

安全性の主要評価項目[死亡、脳卒中、リズムコントロール療法に関連した重篤な有害事象の複合]におけるイベント発生は、

早期リズムコントロール群 231件(16.6%) vs 通常ケア群 223件(16.0%)

となり、2群間で差はなかった。

「リズムコントロール療法に関連した重篤な有害事象」の発生は、早期リズムコントロール群で68件(4.9%)、通常ケア群で19件(1.4%)であった。

また、2年時点の「症状と左室機能」についても2群間で差はなかった。

N Engl J Med. 2020 Oct 1; 383(14): 1305-1316.

結論:

発症早期のAFと心血管疾患を有する患者に対するリズムコントロール療法は、通常ケアと比較して、有害心血管転帰の抑制効果が高いことが示された。

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