HFpEF患者におけるSGLT2阻害薬の効果に対する性差の影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36098051/ 

タイトル:Effects of Empagliflozin in Women and Men With Heart Failure and Preserved Ejection Fraction

<概要(意訳)>

背景:

HFpEFの女性と男性では、臨床的特徴と治療に対する反応が異なる可能性がある。

本研究では、EMPEROR-Preserved 試験に登録されたHFpEF患者におけるSGLT2阻害薬(エンパグリフロジン)の効果に対する性別の影響を評価した。

方法:

SGLT2阻害薬が、主要評価[心血管死または心不全による入院]と副次評価項目[心不全による総入院、初発の心不全入院、心血管死、全死亡、KCCQスコア(カンザスシティ心筋症質問票)]に及ぼす影響を「コホート全体、コホート全体の女性と男性、左心室駆出率(LVEF)により定義されるサブグループ(41%~49%、50%~59%、60%以上)」で比較した。

 

収縮期血圧、尿酸、ヘマトクリット、体重、NT-proBNPの生理学的測定値の変化に対する性別の影響も評価した。

結果:

無作為化された被験者5,988例の内、2,676 例 (44.7%) は女性であった。

プラセボ群では、女性は全ての原因による死亡(全死亡)リスクが低いなど、有害転帰のリスクが低い傾向があった[HR 0.69(95%CI 0.56-0.84)]。

 

主要評価項目の「心血管死または心不全による入院」に対するプラセボ群と比較したSGLT2阻害薬群の男性と女性におけるハザード比は、それぞれ、

男性:HR 0.81 (95% CI: 0.69–0.96)

女性:HR 0.75 (95% CI: 0.61–0.92)

となり、交互作用は認められず(交互p=0.536)、性別に影響がないことが示された。

 

同様の結果が、副次評価項目と生理学測定値についても見られた。

 

「KCCQスコアで評価した52週時の臨床要約スコア」に対するプラセボ群と比較したSGLT2阻害薬群の男性と女性における調整平均差は、それぞれ、

男性:1.38 (95% CI: 0.23–2.54)

女性:1.63 (95% CI: 0.35–2.92)

となり、交互作用は認められず(交互p=0.77)、性別に影響がないことが示された。

Circulation. 2022 Sep 13;101161CIRCULATIONAHA122059755.

結論:

SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン10mg)のHFpEF患者に対する効果とKCCQスコアで評価した健康状態(QOL)は、性別と左室駆出率に関わらず、同様のベネフィットを享受できることが示された。

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