PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33355256/
タイトル:Advanced Liver Fibrosis Is Common in Patients With Type 2 Diabetes Followed in the Outpatient Setting: The Need for Systematic Screening
<概要(意訳)>
背景:
2型糖尿病(T2DM)患者における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と肝線維症の有病率を調査した。
方法:
プライマリケアまたは内分泌専門の診療所に通院し、NAFLDの診断がされていない合計561例の2型糖尿病患者(年齢 60±11歳、BMI 33.4±6.2 kg m2、HbA1c 7.5±1.8%)が調査対象となった。
被験者は通院時に、肝エラストグラフィ(フィブロスキャン検査:肝臓の硬直および脂肪症の非侵襲的に定量検出するデバイス)によって、制御減衰パラメーター(CAP≧274 dB/m)で脂肪肝、肝臓剛性値(LSM≧7.0 kPa)で肝線維症をスクリーニングされた。
肝疾患の二次的原因は除外された。
また、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)対血小板比指数(APRIスコア)、および肝線維化指標(FIB-4 Index)などの進行性線維症を予測する為の診断パネルも測定された。
線維症が示唆される場合は、肝生検が実施された。
結果:
非侵襲的検査で測定した全体における脂肪肝の有病率は70%、肝線維症(LSM≧7.0kPa)の有病率は21%であった。
脂肪肝と肝線維症における、ASTまたはALT≥40units/Lの上昇は、それぞれ、6%または10%であった。
「非侵襲的検査(肝エラストグラフィ)で測定した肝線維症(全体の21%)の重症度内訳」は、軽度の肝線維症(F1:LSM≧7.0-8.1 kPa)は6%、中等度の肝線維症(F2:LSM≧8.2-9.6 kPa)は6%、重度の肝線維症または肝硬変(F3:LSM≧9.7-13.5 kPa、F4≧13.6 kPa)は9%に存在した。
「中等度以上の肝線維症患者」における、ASTまたはALT≧40units/Lの上昇は、それぞれ、18%または28%であった。
「APRIスコアとFib-4 indexの診断パネルで推定した肝線維症の重症度内訳」は、低リスク(<0.25:Fib-4 index<1.3)で49%、中等度リスク(≧0.25-0.49:Fib-4 index≧1.67~<2.67)で38%、高リスク(≧0.50、肝線維症あり:Fib-4 index≧2.67)で13%であった。
この結果は、非侵襲的検査(肝エラストグラフィ)で測定した中等度以上の肝線維症の割合である18%と同程度となった。
「脂肪肝(全体の70%)の重症度内訳」は、軽度(S1:CAP 274-289 dB/m)は9%、中等度(S2:CAP 290-301 dB/m)は7%、重度(S3:CAP≧302dB/m)は54%に存在した。
「脂肪肝患者」における、ASTまたはALT≥40units/Lの上昇は、それぞれ、8%または13%であった。
肝エラストグラフィ、およびFIB-4 index、APRIスコア等の診断パネルを使用することで、2型糖尿病患者の脂肪肝、肝線維症のスクリーニングパフォーマンスは向上するだろう。
Diabetes Care. 2021 Feb; 44(2):399-406.
結論:
2型糖尿病で外来を受診している患者の6人に1人(15%)は、中等度以上の肝線維症が進行していることが本研究で示された。
これらの結果は、脂肪肝またはALTの上昇を伴う2型糖尿病患者に臨床的に重要な肝線維症をスクリーニングすることを推奨する米国糖尿病学会ガイドラインを支持した。
【参考情報】
Fibroscanの結果を解釈する方法は?
https://ja.guide-de-l-accessibilite.org/how-to-interpret-fibroscan-results-5455
APRIスコア
https://ja.drderamus.com/apri-score-1665
肝線維化を見つける方法 FIB-4 index
https://kanzo-kensa.com/column/fattyliver03/
https://kanzo-kensa.com/examination/calc/
肝臓検査.com