PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32355258/
タイトル:J-CKD-DB: A Nationwide Multicentre Electronic Health Record-Based Chronic Kidney Disease Database in Japan
<概要(意訳)>
J-CKD-DBは、参加している大学病院の電子医療記録(EHR)データに基づいた大規模な全国規模のレジストリーである。
標準化された交換可能な情報ストレージを使用して、異なるEHRシステムにも関わらず、参加病院全体のCKD患者の臨床データを効率的に収集することに成功した。
日本における80施設を超える大学病院のうち、21施設がJ-CKD-DBレジストリーの参加に同意した。
CKDの定義は、ディップスティック蛋白尿1 +以上、および/または、外来と入院の両方の検査データに基づくeGFR<60 mL / min / 1.73 m2とした。
外来または入院患者情報に基づいてこれらの選択基準を満たすすべての患者は、患者が腎臓科または他の専門医の治療を受けているかどうかに関係なく登録された。
[ベースラインの患者背景]
2018年1月現在、10万人以上の11の大学病院(フェーズ1データベース構築病院)におけるCKD外来患者のデータが、2014年1月1日から2014年12月31日まで登録された。
最初の分析対象となった39,121人のCKD外来患者のベースライン特性は、年齢(中央値):71歳、男性:54.7%、eGFR(中央値):51.3 mL / min / 1.73 m2、CKDステージ(eGFR区分)G1:1,001人(2.6%)、G2:2,612人(6.7%)、G3a:23,333人(59.6%)、 G3b:8,357人(21.4%)、G4:2,710人(6.9%)、G5:1,108人(2.8%)であった。
利用可能な蛋白尿データがある19,055人(48.7%)の内訳は、CKDステージ(蛋白尿区分)A1(蛋白尿陰性):9,357人(49.1%)、A2(微量蛋白尿[±]):3,126人(16.4%)、A3(ディップスティック蛋白尿≥1+):6,572人(34.5%)であった。
[日本におけるCKD外来患者の臨床的特徴]
CKD患者の大部分は65歳以上であり、最も多い年齢カテゴリーは男女ともに70〜79歳であった。40歳以降の最も多いCKDステージは、男女ともにG3であり、G3bとG4の割合は、男女ともに加齢と共に徐々に増加した。
CKDステージG5の割合は若い患者で多かった。 全ての年齢層で、蛋白尿は女性より男性の方が多かった。
CKDステージA3(ディップスティック蛋白尿≥1+)の割合は、高齢患者(20%〜40%)より若い患者(60%〜80%)の方が多かった。
CKDが進行した若い患者は、高齢患者よりも大学病院に紹介されて治療される可能性が高いことが示唆される。
KDIGOリスク分類によると、非常にハイリスク(レッドゾーン)症例は、男性患者で30.1%、女性患者で25.5%を占めた。
全ての年齢層を通じて、非常にハイリスク(レッドゾーン)症例は、男性よりも女性で多かった。18〜44歳の若い患者では、ハイリスク(オレンジゾーン)症例が最も多く、男性で54.3%、女性で57.9%を占めた。
非常にハイリスク(レッドゾーン)症例は、男女ともに加齢と共に徐々に増加した(85歳以上の男性で44.2%、女性で40.5%)。
【参考情報】日腎会誌 2017;59(7):1034‒1041.