非弁性心房細動患者における相対的左室壁厚と血栓塞栓症との関連



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31977011/

タイトル:Association between relative wall thickness of left ventricle and incidence of thromboembolism in patients with non-valvular atrial fibrillation: The Fushimi AF Registry

<概要(意訳)>

背景:

心房細動(AF)は、虚血性脳卒中や全身性塞栓症(SE)などの血栓塞栓症リスクを高める。

本研究では、左心室の相対的な壁の厚さ(RWT:相対的左室壁厚)と非弁膜症性AF患者における血栓塞栓症リスクとの関係を調査することを目的とした。

方法:

伏見AFレジストリーは、日本のコミュニティベースのAF患者の前向き観察研究である。

分析対象となったのは、ベースラインで経胸壁心エコー検査で計測された相対的左室壁厚(RWT)のデータが利用可能な3,067人の非弁膜症性AF患者である。

結果:

高RWTグループ(中央値を超えるRWT)は、低RWTグループと比較して、女性、高齢の割合が多く、収縮期血圧、CHADS2、CHAD2S-2VAScスコアが高かった。

中央値1,309日のフォローアップ期間中の虚血性脳卒中/全身性塞栓症の発症率は、高RWTグループで高かった[未調整HR 1.91(95%CI 1.42-2.59)]。

CHAD2S-2VAScスコア、左房径、ベースライン時の経口抗凝固薬の服用、AFタイプを含めた多変量Cox回帰分析では、高RWTグループは虚血性脳卒中/全身性塞栓症の発症と独立した関連が認められた[調整HR 1.81(95%CI 1.34- 2.47)]。

層別分析では、どのサブグループにも有意な交互作用は示されなかった。

カプラン・マイヤー分析では、相対的左室壁厚(RWT)の四分位数は、虚血性脳卒中/全身性塞栓症の発症率を層別化した。

最終的に、CHAD2S-2VAScスコアにRWTを追加することで、脳卒中/全身性塞栓症の発症率のリスク層別化の精度が向上した。

結論:

相対的左室壁厚(RWT)は、非弁膜症性心房細動の日本人患者における虚血性脳卒中/全身性塞栓症と独立して関連しており、有害転帰、特に血栓塞栓症に密接な関連のある左室形態の重要性が示唆された

【参考情報】

心腔計測におけるガイドライン2015 年 ダイジェスト版

https://www.asecho.org/wp-content/uploads/2018/01/ChamberQuant_Japanese.pdf 

Left ventricular concentric geometry has a prognostic value for ischemic stroke or systemic embolism in atrial fibrillation patients: The Fushimi AF Registry

https://academic.oup.com/eurheartj/article/38/suppl_1/ehx501.P505/4087800

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