心不全合併心房細動患者における早期リズムコントロール療法



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34328366/ 

タイトル:Early Rhythm Control Therapy in Patients with Atrial Fibrillation and Heart Failure

<概要(意訳)>

背景:

心不全(HF)を合併した心房細動(AF)患者の多くは、最適な治療を行っても心血管系の合併症のリスクは依然として高い。

とくに、HFpEF患者では、これらのイベントリスクを減らすには追加の治療が必要となる。

本研究では、早期リズムコントロール療法が心血管アウトカムに与える影響を調査した。

方法:

EAST-AFNET 4 試験(ClinicalTrials.gov;NCT01288352)で事前に指定したサブ解析として、2つの主要評価項目に対する早期リズムコントロール群(ERC群:無作為化後にAF診断から1年以内の被験者に抗不整脈薬の投与または心房細動アブレーションによる治療を実施)と通常治療群(UA群:AF関連症状を管理する場合にのみリズムコントロール療法を実施)の効果を評価した。

有効性の主要評価項目は、「心血管死、脳卒中、心不全の悪化または急性冠症候群による入院の複合」とした。

安全性の主要評価項目は、「死亡、脳卒中、リズムコントロール療法に関連する重篤な有害事象の複合」とした。

結果:

798例[女性 37.6%、年齢の中央値 71歳、LVEFデータなし 13例]の被験者が本研究の分析対象となった。

心不全サブタイプの内訳は、HFpEF(LVEF≧50%;平均LVEF 61±6.3%)は442例、HFmrEF

(LVEF 40-49%;平均LVEF 44±2.9%)は211例、HFrEFは132例(LVEF<40%;平均LVEF 31±5.5%)であった。

追跡期間(中央値5.1年)における、有効性の主要転帰(血管死、脳卒中、心不全の悪化または急性冠症候群による入院の複合)は、それぞれ、

早期リズムコントロール(ERC)群:94/396例、5.7/100患者/年

通常治療(UA)群:130/402例、7.9/100患者/年

となり[HR 0.74(0.56-0.97)]、ERC群で有意なリスク低下が示された(p=0.03)。

しかしながら、心不全サブタイプ間で交互作用は示されなかった(交互p=0.63)

安全性の主要転帰(死亡、脳卒中、リズムコントロール療法に関連する重篤な有害事象の複合)は、それぞれ、

早期リズムコントロール(ERC)群:71/396例(17.9%)

通常治療(UA)群:87/402例(21.6%)

となり[HR 0.85(0.62-1.17)]、両群間で差はなかった(p=0.33)。

2年間における左室駆出率の変化では、両群ともに改善が認められた(ERC群:5.3±11.6%、UA群:4.9±11.6%、p=0.43)。

Circulation. 2021 Jul 30. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.121.056323.

結論:

心房細動の診断から1年以内の心不全兆候または症状のある患者にリズムコントロール療法を行うことは、臨床的ベネフィットがあることが示された。

 

【参考情報】

EAST-AFNET 4 試験

https://www.carenet.com/news/journal/carenet/50836 

https://nejm.jp/abstract/vol383.p1305 

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