QT間隔の6年変化と心不全発症リスク



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33268658/ 

タイトル:Six-Year Change in QT Interval Duration and Risk of Incident Heart Failure

― A Secondary Analysis of the Atherosclerosis Risk in Communities Study ―

<概要(意訳)>

背景:

QT間隔[参考:心室興奮の始まりから興奮が消退 するまでの時間]の経時的変化と心不全(HF)発症との関連を調査した研究は、殆どない。

ARIC(アテローム性動脈硬化症リスク)研究の二次分析で、この関連性を調査した。

方法:

全体として、ARIC研究の訪問1(1987–1989年)と訪問3(1993–1995年)で12誘導心電図(ECG)のデータを取得した10,274例の被験者(年齢60.0±5.7歳、男性45.7%、黒人19.5%) が含まれていた。

QT間隔は、Bazettの式(QTc)[参考:QT 間隔は脈拍の影響を受けるので、一般に Bazett 式(QT 間隔=QT実測値/RR間隔1/2)を用いて補正 QT 間隔(QTc)として用いる]で補正して用いられた。

修正されたQT間隔の変化(ΔQTc)[参考:QTc には性差があり、男性≧470 msec 、女性≧480 msecであれば QT延長症候群の可能性が高い。男性≦ 410 msec、女性≦430 msec であれば QT延長症候群は考えにくい]は、訪問1から訪問3のQTcを差し引くことによって求められた。

主要評価項目はHF発症とし、多変量Cox回帰モデルを使用して「ΔQTcとHF発症との関連」を評価した。

結果:

追跡期間中(中央値19.5年)に、1,833件のHF発症があった。

従来の心血管リスク、QTc、QRS[参考:左右両心室筋の興奮を示す部分]の幅を調整後のΔQTc(QT間隔の変化)は、HF発症と正の相関があった(10ミリ秒のΔQTc増加あたり、[HR 1.06 (95%CI 1.03-1.08)、p<0.001]、ΔQTc≦-2のTertiles1に対するΔQTc≧9のTertiles3の[HR 1.22 (95%CI 1.08-1.36)、p<0.002])。

Circ J. 2020 Dec2. doi:10. 1253/circj. CJ-20-0719.

結論:

本研究では、6年間におけるQT間隔の延長は心不全発症と独立した関連があることが示された。

 

【参考情報】

心電図の波形と正常心電図

https://med.toaeiyo.co.jp/contents/ecg/pdf/ecg1-4.pdf

QT間隔による心機能評価と 予後の予測

http://new.jhrs.or.jp/pdf/education/akiyamalecture14.pdf 

QT 延長症候群と治療のポイント

https://med.toaeiyo.co.jp/contents/ecg/pdf/ecg2-9.pdf 

Sponsored Link




この記事を書いた人