COVID-19流行時の糖尿病患者への臨床的配慮



PubMed URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32172175

タイトル:Clinical considerations for patients with diabetes in times of COVID-19 epidemic.

<概要(意訳)>

糖尿病患者におけるCOVID-19の有病率や病態に関する知見は、今後、より詳細な解析が行われることにより、さらに発展していくと思われる。

今のところ、糖尿病、心臓病、腎臓病、高齢化、フレイルを併発している人は、更に重症化が進む可能性が高いと考えられる。

【COVID19に感染した糖尿病患者の対策】

a)糖尿病の人が発熱、咳、鼻水、呼吸困難などを発症した場合は、所定の保健機関に連絡し指定の医療機関で検査を受ける。

b)感染した患者は、14 日間または症状が回復するまで(どちらか長い方)隔離する必要がある。

c)感染した患者の大部分は軽症であり、自宅待機での対応が可能である。

  水分補給を心がけ、アセトアミノフェンや蒸気吸入などの対症療法を行う。

d)1型糖尿病患者では、高血糖を伴う発熱が発生した場合には、血糖値及び尿中ケトン体を頻回に測定する。

   正常血糖値を維持するために、投与量の変更や補正ボーラス投与が頻回に必要となる場合がある。

e)体液量減少や低血糖を引き起こす可能性のある抗糖尿病薬は避けるべきである。

    経口抗糖尿病薬の投与量を減らす必要があるかもしれない。

    シックデイ時の対応に従うべきであり、血糖値測定や薬剤調整が必要となる場合がある。

f)重症の入院患者には、頻繁な血糖モニタリングが必要である。

    経口抗糖尿病薬、特にメトホルミンとSGLT2阻害剤は中止する必要がある。

g)入院患者の高血糖コントロールは、インスリン療法が好ましい。

【糖尿病患者のCOVID-19感染への予防策】

a)良好な血糖コントロールの維持は感染症と重症化リスク、細菌性肺炎リスクを減少させる可能性がある。

  また、血糖コントロールの維持には血糖自己測定も有用である。

b)心臓病や腎臓病を併発している糖尿病患者には特別なケアが必要であり、心・腎の状態を安定化させることが必要である。

c)栄養に気を配り、たんぱく質を十分に摂取することが大切である。

    ミネラルやビタミンが不足している場合は注意が必要である。

d)運動は免疫力を高めるが、ジムやプールなどの人混みは避けることが賢明である。

e)インフルエンザと肺炎の予防接種を受けることが重要ある。 

    後者は呼吸器ウイルス感染後の二次性細菌性肺炎リスクを減少させる可能性があるが、COVID-19に対するデータはない。

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