2型糖尿病の入院患者における線維芽細胞増殖因子21と尿糖排泄の関連



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33097385/ 

タイトル:Association of serum fibroblast growth factor 21 and urinary glucose excretion in hospitalized patients with type 2 diabetes

<概要(意訳)>

背景:

尿糖排泄(UGE)は、主に腎臓の近位尿細管のナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)2によって調節されている。

UGEの低値は、2型糖尿病患者のインスリン抵抗性と負の相関を示す。

ある研究では、FGF21の投与により、糖尿病マウスの腎臓におけるSGLT2発現が低下し、尿中グルコース排泄が促進されることが示された。

別の研究では、SGLT2阻害薬がマウスモデルでFGF21の分泌を増加させることが示された。

UGEと線維芽細胞増殖因子21(FGF21:肥満症や肥満症を発症基盤とする代謝異常に対する治療薬の候補因子として注目されている)の関連は、動物実験で示されているが、ヒトでは未だ明らかになっていない。

本研究では、2型糖尿病患者の血清FGF21とUGEの低値との関連を調査した。

方法:

2,066例の2型糖尿病患者の入院コホートを医療記録から、空腹時の尿糖濃度と空腹時血糖値をスクリーニング(入院前にSGLT2阻害薬の服用患者は除外)した。

UGEの高値群である70例と低値群である61例が分析された。

「UGEの高値」は、5.5mmol/L(99mg/L)を超える尿糖排泄濃度、または空腹時血糖値≦8.9mmol/L(160mg/dL)の場合、尿糖検査「陽性」として定義した。

「UGEの低値」は、空腹時血糖値≧10 mmol/L(180mg/dL)の場合、尿糖検査「陰性」と定義した。

凍結血清サンプルからFGF-21を測定した。

結果:

UGE低値群(中央値263.5pg/mL)では、UGE高値群(中央値429.4pg/mL)よりも、ボディマス指数(BMI)と血清FGF21レベルが高かった。

「年齢、性別、腎機能、空腹時血糖値、インスリン治療、インスリン抵抗性に対する恒常性モデル評価(HOMA-IR)指数」で調整した多変量ロジスティック回帰分析では、「血清FGF21レベルとUGEの低値」は、「負の相関」を示した。

J Diabetes Complications. 2021 Jan; 35(1): 107750.

結論:

より高いレベル(四分位範囲のQ3、Q4)の血清FGF21は、2型糖尿病患者の尿糖排泄(UGE)の低値と独立した関連が示された。

 

【参考情報】

細胞外分泌因子FGF21による生体機能調節

https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2016.880086/data/index.html 

FGF-21 について

https://www.funakoshi.co.jp/contents/3801 

血清FGF21濃度と心肺体力、身体組成および血中脂質との関係

http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2013/1K10C372.pdf

ヒトにおける血清FGF21レベルは肥満で増加し,単独でメタボリック症候群と関係する

https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1542101710 

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