PCI施行患者の出血と虚血イベントにおける体重の影響



PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32893236/

タイトル:Effects of Body Weight on Bleeding and Ischemic Events in Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention ― From the CREDO-Kyoto Registry Cohort-2 ―

<意訳(概要)>

背景:

実臨床において、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)施行患者の出血と虚血イベントにおける体重の影響は、十分に評価されていない。

方法:

2005年1月~2007年12月の間、日本の26施設が参加した「CREDO-Kyoto PCI/CABG Registry Cohort II」から、参加不同意患者、CABG(冠動脈バイパス手術)患者、ベースラインの体重データがない患者を除いた、1,2690人(72%)を男性9,141人と女性3,549人(28%)に分類した。 さらに、各性別で体重を3分位数に分けた。

男性の場合、Tertile①<60.0kg [3,022人(33.1%)]、Tertile②60.0-68.0kg[3,077人(33.7%)]、Tertile③>68kg[3,042人(33.3%)]に分類した。

男性の体重に該当するBMI(kg/m2)は、Tertile① 20.9±2.2、Tertile② 23.8±1.6、Tertile③ 27.0±2.7となった。

女性の場合、Tertile①<47.9kg [1,184人(33.4%)]、Tertile②47.9-55.8kg[1,185人(33.4%)]、Tertile③>55.8kg[1,180人(33.2%)]に分類した。

女性の体重に該当するBMI(kg/m2)は、Tertile①19.8±2.1、Tertile②23.1±1.8、Tertile③27.1±3.0となった。

推奨した抗血小板療法は、アスピリン(≧81㎎/日)の投与期間は制限なし、チエノピリジン系のチクロピジン(200 mg/日)、またはクロピドグレル(75㎎/日)の投与期間は、少なくとも3ヶ月とした。

二重抗血小板療法(DAPT)の期間は、各主治医の裁量に任せられた。

DAPT中断は、アスピリン、またはチエノピリジン系の2ヶ月以上の中止と定義した。

主要評価項目は、出血イベントは、GUSTO基準の中等度/重度の出血とした。

虚血イベントは、心筋梗塞/虚血性脳卒中とした。

結果:

5年間の累積出血イベント発症率は、男女ともに、体重の減少に伴い段階的に増加した。

男性の出血イベント発症率は、

Tertile①<60.0kg:13.7%、Tertile②60.0-68.0kg:10.3%、Tertile③>68kg:8.0% となった。

Tertile③を基準とした、男性の出血イベント発症リスクは、

Tertile①<60.0kg:[HR 1.10 (95%CI 0.92–1.32)]、p=0.31 

Tertile②60.0-68.0kg:[HR 1.08 (95%CI 0.90–1.29)]、p=0.42 となった。

 

女性の出血イベント発症率は、

Tertile①<47.9kg:17.9%、Tertile②47.9-55.8kg:12.9%、Tertile③>55.8kg:10.1% となった。

Tertile③を基準とした、女性の出血イベント発症リスクは、

Tertile①<47.9kg:[HR 1.45 (95%CI 1.14–1.87)]、p=0.003 

Tertile②47.9-55.8kg:[HR 1.26 (95%CI 0.98–1.62)]、p=0.07 となった。

 

5年間の累積虚血イベント発症率は、男女ともに、体重の減少に伴い段階的に増加した。

男性の虚血イベント発症率は、

Tertile①<60.0kg:13.9%、Tertile②60.0-68.0kg:11.3%、Tertile③>68kg:11.2% となった。

Tertile③を基準とした、男性の虚血イベント発症リスクは、

Tertile①<60.0kg:[HR 1.06 (95%CI 0.90–1.27)]、p=0.47 

Tertile②60.0-68.0kg:[HR 1.01(95%CI 0.86–1.19)]、p=0.92 となった。 

 

女性の虚血イベント発症率は、

Tertile①<47.9kg:15.2%、Tertile②47.9-55.8kg:10.8%、Tertile③>55.8kg:9.5% となった。

Tertile③を基準とした、女性の虚血イベント発症リスクは、

Tertile①<47.9kg:[HR 1.49 (95%CI 1.13–1.95 )]、p= 0.004 

Tertile②47.9-55.8kg:[HR 1.13 (95%CI 0.86–1.48] )]、p= 0.4 となった。

Circulation Journal doi:10.1253/circj. CJ-20-0343

結論:

体重が減少するにつれて、出血および虚血イベント発症率は、男女ともに段階的に増加した。

3分位数のTertile③(過体重)を基準とした、Tertile①(低体重)の出血および虚血イベントの有意なリスク増加は、女性のみに認められた。

 

【参考情報】

冠動脈血行再建術後のレジストリーにおける薬剤の有効性・安全性の評価

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscpt/44/4/44_329/_pdf/-char/ja

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