SU薬で治療された2型糖尿病患者におけるHbA1cと低血糖期間の関係



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31461223/ 

タイトル:Relationship Between Glycated Hemoglobin Level and Duration of Hypoglycemia in Type 2 Diabetes Patients Treated With Sulfonylureas: A Multicenter Cross-Sectional Study

<概要(意訳)>

背景:

SU薬による低血糖は、不整脈などの心血管疾患のリスクを高める。

本研究では、SU薬で治療された2型糖尿病患者におけるHbA1cレベルと低血糖期間の関係を明らかにすることを目的とした。

方法:

登録された患者(n = 300)のHbA1c値は、日本の糖尿病センター6施設における外来患者を対象にCGM(持続グルコースモニタリングの装着時間は13.4±1.5 days)を使用して調査した。

結果:

全体で、269人のCGMデータが分析対象となった。

HbA1cの内訳は、≤6.4%[38人(14%)]、6.5–6.9%[73人(27%)]、7.0–7.4%[69人(26%)]、7.5–7.9%[38人(14%)]、≥8.0%[51人(19%)]であった。

SU薬と使用量(平均±SD)mg/日の内訳は、グリクラジド(グリミクロン)[85人、(27.3±18.4) mg/日]、グリメピリド(アマリール)[168人、1.1±0.76 mg/日]、グリベンクラミド(ダオニール)[16人、3.3±2.0 mg/日]であった。

血糖値<54 mg/dLの低血糖期間は、それぞれ、1.6±2.2min/h(HbA1c≤6.4%)、0.6±2.3min/h(6.5–6.9%)、0.4±1.3min/h(7.0–7.4%)、0.5±1.5min/h(7.5–7.9%)、0.1±0.2min/h(≥8.0%)であった。

そして、0.1±0.2min/h(≥8.0%)に比し、1.6±2.2min/h(HbA1c≤6.4%)の低血糖期間は有意に延長していた(p< 0.0125)。

血糖値<70mg/dLの低血糖期間は、それぞれ、6.8±5.6min/h(HbA1c≤6.4%)、2.6±4.1min/h(6.5–6.9%)、1.8±3.2min/h(7.0–7.4%)、1.6±3.3min/h(7.5–7.9%)、0.4±0.9min/h(≥8.0%)であった。

そして、0.4±0.9min/h(≥8.0%)に比し、他のHbA1cレベルの低血糖期間は有意に延長していた(p< 0.0125)。

血糖値<54mg/dL(r = -0.198、p<0.01)、または<70mg/dL(r = -0.381、p<0.001)の低血糖期間は、年齢・糖尿病の罹病期間・BMI・eGFRで調整後のHbA1cレベルと逆相関していた。

HbA1cレベル ≤6.4%、6.5–6.9%、7.0–7.4%の被験者における血糖値<54mg/dLの低血糖期間は、日中(7:00-23:00)よりも夜間(23:00-7:00)の方が有意に延長していた(p<0.05)。

一方で、血糖値<70mg/dLの低血糖期間は、全てのHbA1cレベル(≤6.4%、6.5–6.9%、7.0–7.4%、7.5–7.9%、≥8.0%)の被験者において、日中よりも夜間の方が有意に延長していた(p <0.05)。

CGMで測定した24時間平均血糖値では、全てのHbA1cレベルで、3:00-5:00の血糖値が最下点を示した。

血糖値で調整した血糖値<70mg/dLの低血糖期間は、75歳以上の方が75歳未満より、延長する傾向があった(3.0 vs 2.2 min/h、p= 0.09)。

血糖値<54、または70mg/dLの低血糖期間は、糖尿病罹病期間15年以上の方が、15年未満より、有意に延長した(それぞれ、0.80 vs 0.29 min/h、p< 0.05、または 3.0 vs 1.7 min/h、p< 0.01)。

血糖値<70mg/dLの低血糖期間は、eGFR<60の方がeGFR≥60より、延長する傾向があった(3.1 vs 2.1 min / h、p= 0.06)。

血糖値<54、または70mg/dLの低血糖期間は、BMI<25とBMI≧25では、同様であった。

糖尿病性網膜症、腎症、神経障害、大血管合併症の有無に関わらず、低血糖期間に有意な差はなかった。

血糖値<54、または70mg/dLの低血糖期間は、SU薬の用量に比例して、有意な増加が認められた。グリベンクラミドに関しては、n=16と少人数の為、分析しなかった。

グリクラジド(>20mg vs ≤20mg)の用量別の血糖値<54mg/dLの低血糖期間は、0.84 vs 0.23 min/h、p< 0.05。

グリクラジド(>20mg vs ≤20mg)の血糖値<70mg/dLの低血糖期間は、4.2 vs 1.6 min/h、p< 0.01。

グリメピリド(>1mg vs ≤1mg)の血糖値<54mg/dLの低血糖期間は、1.5 vs 0.42 min/h、p< 0.01。

グリメピリド(>1mg vs ≤1mg)の血糖値<70mg/dLの低血糖期間は、4.2 vs 1.8 min/h、p< 0.01。

血糖値で調整した血糖値<70mg/dLの低血糖期間は、インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬)の方が、他剤より有意に短かった(2.3 vs 3.8 min/h、p< 0.05)。

インクレチン関連薬の間では、低血糖期間に差はなかった。 他の血糖降下薬に関しては、血糖値<54、または70mg/dLの低血糖期間に差はなかった。

重症な低血糖が認められた被験者はいなかった。 血糖値<70mg/dLの無自覚低血糖は、全体の内、205人(76%)に認められたが、低血糖症状を訴えた被験者は18人いた。

結論:

低血糖期間はHbA1cレベルと逆相関し、SU薬で治療された2型糖尿病患者の低血糖期間は日中よりも夜間の方が長かった。

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