2型糖尿病患者のHbA1cと体組成における身体活動性と座位時間への影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31756287/ 

タイトル:Impact of physical activity and sedentary time on glycated hemoglobin levels and body composition: Cross-sectional study using outpatient clinical data of Japanese patients with type 2 diabetes

<概要(意訳)>

目的:

本研究では、日本人2型糖尿病患者の「HbA1c、体組成」と「座位時間(ST:分/日)、身体活動性(PA:METs/時/週)」との関連を調査した。

方法:

調査対象は、岡山県の川崎医科大学病院の外来を受診している2型糖尿病患者である。

国際標準化身体活動質問票のShort版を採用し、ウエスト周囲と内臓脂肪を測定した158人を含む1,053人を分析した。

これらの質問票から、身体活動性(PA:METs/時/週)と座位時間(ST:分/日)を「高活動(n=317)、中活動(n=328)、低活動(n=408)」の3カテゴリーに分類したデータを取得した。

身体活動性(PA:METs/時/週)は、5,598 (IQR:4,158–8,262)、1,445 (IQR:990–2,117)、198 (IQR:0–529)に分類された。

座位時間(ST:分/日)は、180 (IQR:120–300)、240 (IQR:180–480)、300 (IQR:180–600)に分類された。

J Diabetes Investig. 2020 May;11(3):633-639.

結果:

全体の平均年齢、HbA1c、BMIは、それぞれ62.7±11.3歳、7.0±1.1%、26.0±4.9 kg/mであった。

高活動カテゴリーにおいて、男性患者は女性よりも有意に多かった(p=0.0125)が、3カテゴリー間の糖尿病治療に差はなく、HbA1cレベルも差はなかった。

一方で、高活動のPA(身体活動性)は、低活動のPAよりもBMIが有意に低かった(p=0.003)。

さらに、座位時間は、中活動と低活動のPAよりも、高活動のPAの方が有意に低かった(各p<0.0001)。

また、3カテゴリー間のWC(ウエスト周囲)とVFA(内臓脂肪)における差はなかった。

重回帰分析による、「PA(身体活動性)」に対する「HbA1c、BMI、WC(ウエスト周囲)、VFA(内臓脂肪)」の影響は、WC(p=0.008)とVFA(p=0.007)が有意な負の相関を示した。

重回帰分析による、「ST(座位時間)」に対する「HbA1c、BMI、WC(ウエスト周囲)、VFA(内臓脂肪)」の影響は、BMI(p<0.0001)が有意な正の相関を示した。

J Diabetes Investig. 2020 May;11(3):633-639.

次に、「ST(座位時間)」を「長い(L)、短い(S)」、「PA(身体活動性)」を「高い(H)、低い(L)」に分類して、[LL:座位時間(長)&身体活動性(低)、LH:座位時間(長)&身体活動性(高)、SL:座位時間(短)&身体活動性(低)、SH:座位時間(短)&身体活動性(高)]の4つのグループに分類し、「HbA1c、BMI、WC(ウエスト周囲)、VFA(内臓脂肪)」の影響を検討した。

HbA1cに対する影響は、4つのグループ間で差はなかった。

BMIに対する「SH:座位時間(短)&身体活動性(高)」の影響は「LL:座位時間(長)&身体活動性(低)、p=0.007」と「LH:座位時間(長)&身体活動性(高)、p=0.002」よりも、有意な低BMIと関連していた。

WC(ウエスト周囲)に対する影響は、「LL:座位時間(長)&身体活動性(低)」と比較して、

「LH:座位時間(長)&身体活動性(高)、p=0.006」と「SL:座位時間(短)&身体活動性(低)、p=0.019」と「SH:座位時間(短)&身体活動性(高)、p=0.002」は、有意な低WCと関連していた。

VFA(内臓脂肪)に対する影響は、「LL:座位時間(長)&身体活動性(低)」と比較して、

「LH:座位時間(長)&身体活動性(高)、p=0.004」と「SL:座位時間(短)&身体活動性(低)、p=0.023」と「SH:座位時間(短)&身体活動性(高)、p=0.001」は、有意な低VFAと関連していた。

J Diabetes Investig. 2020 May;11(3):633-639.

結論:

日本人2型糖尿病患者の「座位時間」を短縮させ、「身体活動性」を上げることは、体重増加の予防と中心性肥満の回避に重要であることが示唆された。

 

【参考情報】

国際標準化身体活動質問票のデータ処理および解析に関するガイドライン

http://www.tmu-ph.ac/pdf/180327_1.pdf?t 

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